最近注目を浴びつつある「子連れ出勤」。子どもを企業内保育所などに預けるのではなく、職場で一緒に過ごすというものだ。働きたいけれど、子どもの預け先がないという問題を抱える母親にとっては願ってもない取り組みだ。
そんな、子連れ出勤をしている女性のブログ記事が話題になっている。子連れ出勤可の職場で週に2〜3日6時間程度をアルバイトとして働く筆者は、自ら望んで時給を下げることにしたのだという。
「同僚に申し訳ないという気持ちも軽くなる」
元々、子連れ出勤者の間から申し出があり、これを会社側が追認した形だという。筆者は時給を下げることに「大賛成」だとし、「気兼ねなく、ゆっくりと慌てること無く娘と向き合える」とそのメリットを説明する。
子連れ出勤は、勤務中であっても我が子の面倒を見なければならない場面がある。以前は、授乳やオムツ替えなどで仕事にならない日もあったというが、時給が減った分、面倒を見る時間が出来たと捉えれば、気後れすることもない。
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さらに、「同じ仕事をしている子連れではない人たちへの申し訳ないという気持ちも軽くなる」と語る。子どもの面倒を見ているときは通常勤務の同僚たちが仕事を進めているわけで、そうした状況で自分が以前と同じ給料をもらうのは悪いと思っていたようだ。
ただ、子連れ出勤者の時給を一律に下げるわけではなく、あくまでも「ママ各々の判断」で決めたという。筆者も会社に「このままの時給ではたらきますか?それとも時給を下げますか?」と聞かれて答えたということだ。
他のママ同僚への「同調圧力」を心配する声も
筆者は現状に満足している様子だが、この記事に対し、はてなブックマークで多くの疑問が寄せられた。時給を下げるのではなく、「子どもの面倒で仕事から離れた時間を勤務時間から除外する」という方法の方が合理的とする声が多い。
「負い目があるのは分かるけれど、時給下げるのは悪手な気がする。分刻みで勤務除外時間を計算してその分下げるのがよいのではなかろうか」
時給ダウンの前例を作ってしまうと、「事あるごとに値下げ交渉される危険性」が出てくるという指摘もある。「気持ちはわかるけど、経営者側の都合の良い様に利用されやすい内容なのが痛い」というのだ。
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また、時給を下げるかどうかは「ママ各々の判断」によるものだが、この点にも疑問が寄せられた。この取り組みを理解しつつも、「私が下げたんだから、あなたも」という同調圧力が生まれないかと心配しているようだ。
「足手まといは時給を下げてOK、むしろ自分から『下げてください』と言え的な同調圧力だけが心配」
筆者は感激「この世にこんな素敵な会社あるんですね」
厳しい意見が目立ったが、「(時給を)下げたほうが精神的にはきっと楽。子連れ出勤卒業したら上げてもらえば良いし」と筆者に同意する意見も寄せられた。また、タイムカードなどをこまめにつける実労働制にすることの難しさをあげ、「双方納得しているなら問題はない」という人もいた。
ブログによれば、この会社は以前から子連れ出勤を推進。他社に向けての「子連れ出勤見学会」も開催している。子連れ出勤に理解を示し、先進的に取り組んでいるだけに、その分時給が減っても良いと筆者は考えたのではないだろうか。
時給が下がることで、「子連れ出勤はますます自宅育児と変わらなくなってきたな、という印象」であると筆者は話す。また、「この世にこんな素敵な会社あるんですね」と語り、さらに会社への想いも強くなったようだった。
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