15種類のハイリスクタイプのうち7タイプに対応
婦人科のがんの中で最も多いのが子宮がんです。年間21,500人が子宮がんになり、そのうち子宮頸がんは、約10,000人程度です。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しており、90%以上の患者さんから検出されているという報告があります。
またHVPには100種類以上のタイプがあり、このうち15種類が子宮頸がんの原因となるハイリスクタイプとされています。
MSD株式会社は、9つのHPV型に対応した「組み換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン」の製造販売の承認申請を7月3日に提出。従来のHPVワクチン「ガーダシル」(一般名:組み換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)は、6型11型16型18型の4タイプへの対応のみでしたが、9価HPVワクチンでは、31型33型45型52型58型が新たに加わりました。
これらのタイプのうち、、6型と11型を除く7つのタイプは、子宮頸がんをはじめ外陰がん、膣がん、肛門がんなどの原因になることが知られており、さらにこの7つのタイプが子宮頸がんの原因の約90%を占めていることから、子宮頸がんの予防となるハイリスクタイプのHVP感染をよりカバーしたことになります。
子宮頸がん HPVワクチンの安全性に対する取り組み
ワクチンの有効性の一方で、有害事象も多く報告されており、政府の積極的な摂取の呼びかけも中止されています。また7月13日には、欧州医薬品庁(EMA)が子宮頸がんワクチンの安全性をより明らかにするための評価を行うと発表しています。
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国内では2014年3月までに338万人が子宮頸がんワクチンの接種を受け、うち2,500件の有害事象の報告が寄せられています。ワクチンと有害事象の関係はまだあきらかにされておらず、発症のメカニズムの解明が急がれています。
5月に行われた日本神経学会学術大会では、厚生労働省研究班に加わる鹿児島大学の研究グループにより「HLA型が副作用に関連している可能性」が示唆されています。同研究班の代表を務める信州大学では、これを受け、同大学病院を受診した約90人を対象に、症状とHLA型に関する臨床試験を行う予定です。
子宮頸がんは、早期発見し早期治療すれば、比較的治療しやすく予後のいいがんといわれますが、毎年3,000人が亡くなっています。子宮頸がんは、予防できる数少ないがんの1つです。ワクチンと有害事象の関係の解明とより安全性の高いワクチンの開発が期待されます。(QLife編集部)
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