50年前、日本でマイカーはまだ珍しかった。戦後復興からいざなぎ景気へ、日本全体が上昇ムードに包まれる中、人々は夢をもった。それがマイカーである。そしてその夢は「大人たちだけではなく、こどもたちにも与えたい」、そういった機運のなか生まれたのが、こども自動車『ダットサン・ベビイ』だ。
マイカーへの夢
日産が設計し『こどもの国』で走った『ダットサン・ベビイ』は、小さいながらも、デザインも操作系も本格的な自動車そっくりであった。こどもたちはこの『ダットサン・ベビイ』にときめき、長蛇の列をつくったという。
日本全体が豊かになり、さまざまな娯楽、レジャーが盛んになると、いつしかこの本格的ミニカーは忘却の彼方へと消え去ってしまった。しかし今回、『こどもの国』の倉庫に保管されていた1台を発見、日産の開発部門の有志『名車再生クラブ』が復元した。
『ダットサン・ベビイ』をオリジナルそのままで復元
レストアした日産有志『名車再生クラブ』によると、オリジナルにこだわり、劣化した部品を改めて製作したり、タイヤパターンも自動車らしいグルーブが刻まれたものを世界中で探しまわって台湾から取り寄せるなど、相当の努力をしたという。その甲斐あって綺麗に復活したダットサン・ベビイは、まさに当時そのものの懐かしい姿を取り戻した。
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この1台は、50周年を迎えるこどもの国で展示されるほか、日産イベントでも公開されるという。
運転の楽しさを原体験
特筆すべきは、この『ダットサン・ベビイ』が公道走行可能な自動車をベースに開発された“本物の自動車”という点、そしてこれを運転するのには交通教育を受け、“こども免許”を受けた上でないと走行できない点である。こどもが運転できる、狭く小さなミニカーながらも、その体験は“大人と同等”だったのだ。この本物の運転体験は、おそらく無類のドライビングプレジャーをこどもたちに与えたことは想像にかたくない。そのこどもたちが、その後大人となっていく過程で本物の免許を取得、マイカーを持つにいたったことだろう。
小学生のこどもをもつ一人の親として感じるのは、原体験は大事だということ。スマホゲームが流行しているが、50年後にどんな未来が待っているのだろうか。改めて未来に思いを馳せるとともに、この夏休みを利用してさまざまな体験をしたいと思う。
【参考・画像】
※ 日産自動車、こども自動車「ダットサン・ベビイ」を再生 – NISSAN NEWSROOM
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※ こども自動車「ダットサン・ベビイ」半世紀ぶりに復活!【日産ダッシュボード31号】差替版 – YouTube