9割の患者さんが「仕事と治療の両立が難しいと感じたことがある」
日本で体外受精など生殖補助医療によって生まれた子どもは、2012年度で3万7,953人に達しました。これは出生児の約27人に1人の割合。不妊治療で子どもを授かることは、もはや特別なことではないのです。ただ、多くの患者さんは、仕事と治療の両立に悩んでいるようです。
不妊で悩む人のサポートを目的としたNPO法人Fineが実施した調査では、不妊治療経験者2,152人のうち、じつに91.9%に当たる1,978人もの患者さんが「仕事と治療の両立が難しいと感じたことがある」と回答。厳しい現状が、明らかになりました。
さらに、そのうち、42.3%に当たる836人が退職や転職、休職など勤務状況の変更を経験しています。その理由として多かったのは「通院回数が多い」、「診察・通院に時間がかかる」などで、治療のため遅刻や早退をせざるを得ないことが仕事との両立を困難にしているようです。
不妊治療への周囲理解は?
それでは企業におけるサポート体制はどうなっているのでしょうか。サポート制度が職場にあると答えた人はわずか5.9%で、78.9%は制度がないと回答。30代では、気兼ねなく治療に時間を使えるように「休暇・休業制度」の充実を求める声が多く見られました。
一方、サポート制度があっても使ったことがないという人も。その理由としては、実際に制度を利用するとなると、周囲の目が気になり、使いにくいという現実があるようです。制度の整備だけでなく、不妊や不妊治療に対する理解を企業内で深めることが大切といえそうです。
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今回の調査によって、仕事と治療の両立の難しさや、不妊に対する周囲の無理解、サポート制度の不整備など、不妊治療を取り巻く厳しい状況が浮き彫りになりました。柔軟な就業形態の整備と、それを気兼ねなく利用できる企業風土、社会風土が求められているのではないでしょうか。(林 渉和子)
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