子どもたちを自殺から守るには?「幻聴体験」と自殺の関係性

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2015年08月28日 12:10  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

10〜15歳の精神科初診患者608名の13%に幻聴体験

 10代の子どもたちの死因、一位は「自殺」です。精神医療関係者は、死にたい気持ち(自殺念慮)を抱く子どもに出会うことは少なくありません。医療関係者には、子どもたちが自殺行動に至ってしまう前に、リスクを把握し、予防的に支援することが求められています。

 それでは、どのような子どもたちに自殺のリスクが考えられるのでしょうか。一般の中高生を対象とした疫学研究では、他の人には聞こえない声が聞こえる「幻聴体験」が、自傷行為や自殺企図など自殺関連事象のリスクと関連があることが示唆されています。

 神奈川県立こども医療センターは、精神科外来を初診した子どもの幻聴体験に関する研究を行い、その結果を発表しました。それによると、10〜15歳の精神科初診患者608名の13%に幻聴体験があることが明らかになりました。

幻聴体験のある人は「自殺念慮」を抱いている可能性が3.4倍高く

 調査結果によると、608名の31%にあたる188名が「過去2週間以内に死にたい気持ちになったことがある」(自殺念慮)と回答。さらに、12%にあたる70名が「過去2週間以内に自殺しようとしたことがある」(自殺企図)と答えています。

 また、608名のうち、幻聴体験のある人は、幻聴体験のない人と比べ、自殺念慮を抱いている可能性が3.4倍高いことが明らかに。さらに「自殺ハイリスク者」とされる自殺念慮を抱く188名のうち、幻聴体験のある人は、幻聴体験のない人と比べ、自殺企図の経験がある可能性が3.4倍高いことも明らかになりました。

 これにより幻聴体験は自殺念慮だけでなく、自殺念慮を抱く子どもたちの自殺企図にも関連する可能性が示唆されました。子どもたちが自ら命を絶ってしまうことがないように、精神医療の関係者や周囲の大人たちは、子どもたちの幻聴体験の訴えに注意すべきかもしれません。(下玉利 尚明)

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