積水化学と豊田市がタッグ「下水熱から再生可能エネルギー」を生み出す

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2015年09月08日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

皆さんは、“下水道”というと、どんなイメージをお持ちだろうか?

汚い、臭い、生ぬるい。そこを流れる生活排水についてはもう用のない、価値の無い水。きっとそのようなイメージを持つ方が大半だろう。

しかし、もしこの価値の無い水が流れゆく“下水道”から、“新たな価値”が生まれるとすれば、どんなに素晴らしいことだろうか。そしてイマ、それが現実となろうとしている。

下水熱から再生可能エネルギーを生み出す「ミライ・チャレンジ都市」へ

下水道は、主に生活排水や産業排水などが流れ込むが、これは大抵の場合、外気温よりも暖かい、つまり熱を帯びている場合が多い。生活排水であれ、産業排水であれ流れ出る排水はお湯や温水も含まれ、これが下水道に流れるために、暖かくなるということなのだ。

今年の7月より、下水道に関する法律が改正され、今までは法的に不可能であった、「下水道施設内に民間企業が設備を取り付ける」ということが、この下水道の熱利用に関してのみ、設備の設置を許されることとなった。

これを受けて8月26日に、積水化学工業株式会社と愛知県豊田市は、新たな“下水熱回収技術”の実用化に向けて『ミライ・チャレンジ都市パートナーシップ協定』を締結し、調印式を行った。これは同市の下水処理場『あすけ水の館』において共同で実証事業を実施するというものだ。

今回の実証実験では、下水処理場『あすけ水の館』に設置される、下水の貯留槽内に“ピット型熱交換器”を設置、貯留水から回収した熱エネルギーを、学習施設棟の空調に実利用する際の性能等を検証する。

予測では、従来設備である空気熱源ヒートポンプに比べ、約30%のランニングコストおよびCO2削減効果が期待されるということだ。

この削減されるコストは、当然ながら下水道がもたらす熱を利用する“再生可能エネルギー”であることから、実証実験が予測数値どおり、もしくはそれよりも優れた結果をもたらす場合は、全国的、いや世界的にこれらの技術が広がっていくことは、想像に難くない。

下水道に流れる排水など、我々が見落としがちなモノにこそ、大きな可能性が秘められているということを、今回の実証実験では証明してくれるに違いない。

【参考・画像】

愛知県豊田市とミライ・チャレンジ都市パートナーシップ協定を締結 – 積水化学工業株式会社

※ Nejron Photo – Shutterstock

※ Trento / Flickr

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