まったなしの温暖化対策に!インドネシアの熱帯雨林100万ha再生・保護へ

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2015年09月09日 06:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

世界の二酸化炭素(CO2)排出量の約1割は、森林の減少によってもたらされる。

樹木の伐採や焼失により、炭素を吸収し蓄えている機能が失われるためだ。2020年以降に始まる新しい地球温暖化対策の枠組みでは、「REDD+(レッドプラス)」などの森林の保護制度が盛り込まれる見通しだ。

これは、森林を保全することによって炭素の蓄積量を維持し増やす様々な努力に対し、一定の経済的な価値を与えようという仕組みだ。

温暖化対策として森林保護の重要性がますます認識される中、熱帯雨林が豊富なインドネシアで製紙業を行うアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)では、2013年に独自の森林保護方針(FCP)を立ち上げ、自然林の伐採中止を宣言している。温暖な気候に恵まれたインドネシアでは、ユーカリやアカシアといった成長の早い広葉樹を植林して6年未満で収穫し、パルプに加工することができる。

世界最大規模の製紙会社APPグループのインドネシアにおける管理面積は、東京都の面積の約12倍にあたる約260万haに及ぶという広大なもので、この緑のサイクルが実行されることは、インドネシアの貴重な自然林の保護につながっていく非常に重要な一歩となる。

自然林伐採ゼロへの行動は、国際的認証機関である「レインフォレスト・アライアンス」によっても独立した検証が行われ、実効性を評価されている。とはいえ、地域コミュニティとの紛争や情報共有など解決すべき課題も残されている。

熱帯雨林を保全することは生物多様性を守ることに直結する

同社は現在、森林保護方針(FCP)に基づき政府とNGO、関連企業とともに、インドネシアの熱帯雨林100万haの保護と再生を支援する計画を策定しており、年内には「森林保護基金」も立ち上がる予定だ。

インドネシアは絶滅の危機にある、スマトラトラやスマトラゾウや希少な保護植物など、多様な動植物が生息し、生物多様性が世界で最も高い国と言われる。そして、その生態系のゆりかごとなっているのが熱帯雨林だ。

同社では、インドネシアの中でも特に貴重な生態系の残っている10地域を景観地域として選定し、政府や自然保護NGOなどと連携しながら熱帯雨林や炭素蓄積の大きい泥炭湿地林の保護、再生や、動物らの生息域を保全するなどの取り組みを始める。

その第一弾として、同社及びAPPジャパンでは今年8月、スマトラ島リアウ州にある「ギアム・シアク・ケチル」の景観地域において、まず1万本の植樹をスタートした。これは同エリアの荒廃している地域25haに、今後1年間で同地の自生種である「フタバガキ」を、1万本植えるというものだ。

フタバガキとは、ラワン材の材料になるもので、アジアの熱帯雨林を構成する代表的な樹種である。内外の植林活動に幅広くかかわっている生物学者の宮脇昭氏が同地を視察した際にフタバガキを推奨したことからをこの木を選んだという。

植樹プロジェクトには地域コミュニティも関わり、同社ではコミュニティが支障なく植樹を継続できるように継続的に活動を支援していく。

世界各地で間伐や洪水、熱波など気候変動が頻発する現在。まったなしの地球の温暖化対策として、“地球の肺”と呼ばれる熱帯雨林をどのように保護し、再生していくかは、企業だけでなく、政府、コミュニティ、NGOなど、地球市民共通の大きな課題だ。その中でも非常に影響力の大きい企業の森林保護への行動転換は大きな一歩となるに違いない。

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