日本最古の物語とされる『竹取物語』によれば、竹の中から現れたかぐや姫は、わずか3ヵ月で美しい娘に成長したそうだが、同様に“竹”の成長も早く、3ヵ月程度で親竹並みの、20m以上の大きさに成長することで知られている。
そんな“竹”の中には、一部の地域にしか育たない不思議な品種が存在する。
高知県須崎市安和(あわ)の『虎斑竹(とらふだけ)』だ。
虎模様が浮き出た竹で、その珍しさからイギリスのBBC放送もわざわざこの地まで取材に来たほど。
これまでも各地で『虎斑竹』の移植を試みたものの、何故か虎模様が綺麗に表れず、増殖には成功していないと言う。
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121年続く竹細工の老舗がEVを製作
“竹虎”こと、山岸竹材料店は、この地で明治27年に創業、121年間に渡り、この日本唯一の『虎斑竹』を伝統的な手法で加工。
竹かご、ざる、竹箸、竹皮草履、竹鬼おろし、蒸篭、竹弁当箱、竹家具、竹炭、竹酢液、竹布など、多岐にわたる竹細工や竹製品の製造、販売を手掛ける老舗竹メーカーだ。
竹が持つ“しなる”特性は、外力に対して強靭で、長く使えるエコな素材。
同店の4代目山岸義浩氏が、この『虎斑竹』の魅力をもっと全国にアピールすべく、環境に優しいEVに『虎斑竹』を組み合わせる事を思いついた。
光岡自動車の小型EV『Like-T3』をベースに、『虎斑竹』で外観を仕上げ、2人乗りのEVを製作。
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乗り手に竹の強さ、しなやかさ、清々しさなどを肌で感じてもらおうという思いが込められている。
竹は、継続利用できる無尽蔵の資源であるというだけでなく、加工の容易さ、柔軟性、堅牢性など特有の性質を持っており、海外では高層ビルの足場にも使われるほど強く、しなりがあり、狂いが無いのが特徴。
また、竹を割ってヒゴ状にすれば、柔らかな曲線の表現が可能となり、クルマのボディにも利用可能になる。
発想のもとになったのは、京都大学が、京都市産業技術研究所や東洋竹工などと協力して製作した、竹かご型電気自動車『Bamgoo』だ。
クラウドファンディングで出資者を募集
山岸氏は今回の『虎竹自動車プロジェクト』を実現するにあたり、クラウドファンディングサイト『kibidango(きびだんご)』を利用することにした。
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8月26日から10月6日までの期間で出資者を募っており、『Like-T3』の費用約155万円、虎竹材での外装カスタム費約150万円など目標総額340万円の資金を調達する計画。(出資は1,500円から可能)
出資者に対しては出資額に応じて、虎竹スマホスタンドや竹製ワインクーラー、虎竹自動車で行く1泊2日のツアーなどの特典を用意している。
地域資源である『虎斑竹』をまとったEVを製作し、実際に走らせることにより、その走りが竹産業のみならず、地域の活性化を課題とする地方の元気に繋げられる事になればと願っているそうだ。
継続利用が可能な天然資源である“竹”と、環境に優しいEVの組み合わせは、まさに“究極のエコカー”と言えるかもしれない。
【参考・画像】
※ 日本唯一の不思議な「虎斑竹」自動車でお客様を乗せて走りたい! – kibidango
※ 「竹かご型電気自動車(愛称Bamgoo)」を開発、発表しました。(2008年11月2日) – 京都大学
【動画】
※ 竹虎四代目が守る奇跡の虎竹「静の美」 – YouTube
※ 竹虎の竹自動車への挑戦! – YouTube