【クルマを学ぶ】ハロゲンからHID、LED、レーザーまで「ヘッドライトの変遷」

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2015年09月13日 15:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

夜間の自動車走行で重要なのはヘッドライトである。街灯がある市街地ならいざ知らず、郊外や山間部では自らのヘッドライトだけが頼りだ。

今回は、夜間走行時に重要となる“ヘッドライト“”について歴史を振りかえり、最先端技術を紹介したい。

ヘッドライト形状の歴史

ヘッドライト、前照灯の歴史は古く、カール・ベンツのガソリン自動車が走行した数年後の、1890年頃には装着されていたとされる。当時の光源はアセチレンランプで、形状は円形であった。

円形ヘッドライトは理想的な形状から、アメリカでは丸型シールドビームの規格が決められたほどだったが、デザインをする側からしてみれば窮屈この上ないし、ユーザーも飽きてしまったのだろう。その後4灯式や、異形ヘッドライトへと変化していった。

角型ヘッドライトや、一世を風靡したリトラクタブルヘッドライトが登場。特にリトラクタブルヘッドライトは、しまっている間は流麗なデザインができることから、スポーツカーで多く採用され、スーパーカーでは代名詞的存在となった。

しかし、ヘッドライトをあげるとデザインが崩れることや、空気抵抗が増える、歩行者保護の観点やヘッドライト高さの法規上の問題など、様々な要因から、その後プロジェクター式や配光をコンピュータ解析する、マルチリフレクター(反射)式を組み合わせる方式が主流となっている。

ヘッドライトバルブの変遷

昔使われていたシールドランプは、それ自体が電球といってもいいが、現在のヘッドライトはレンズとバルブがそれぞれ独立しており、バルブを交換することができる。

このバルブでもっとも普及しているのが、白熱球と同じ原理で、フィラメントに電気を流して発光させるハロゲンランプだ。安価であるが、白熱球と同じく寿命が短く、フィラメントが切れたら交換する必要がある。

HID(High Intensity Discharge)ランプは蛍光灯と同じ原理でフィラメントはなく、アーク放電により発光する。ハロゲンランプと比較して、光量が大きく寿命が長いのが特徴だ。

しかし、ハロゲンと違い応答性が悪く、明るくなるのに時間がかかるため、パッシングといった用途には不向きだ。そのためハイビームはハロゲンランプを併用するか、プロジェクター式では常時点灯させ内部の反射板を切り替えて、ロー・ハイビーム切り替えを行う。

白色LEDの発明により、最近ではヘッドライト用のLEDバルブも普及しはじめている。応答性が高い、消費電力が低い、寿命が半永久的なことが特徴だ。


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さらに省エネルギー、照射範囲が広く明るいレーザーを使ったヘッドライトシステムが、最新のAudi 『R8 LMX』や BMW 『i8』に搭載されたが、今後普及していくだろう。

ハイビームが基本

さて、夜間走行するとき、ライトをつけるのは当然だがロービームだけで走っていないだろうか? 実はロービームの正式名称は「すれ違い前照灯」といい、基本的にはハイビームで走行し、対向車や歩行者がいるときに、ロービームを限定的に使用する。


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ロービームだけで走行することの危険性は、日本のみならず世界中で問題となっており、メーカーは様々な取り組みを行っている。

道路状況に合わせて配光する技術


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Audi 『TT』に搭載されるマトリクスLEDヘッドライトは、交通状況に合わせて配光を調整、前走車や対向車に光があたらないようにアクティブにライトをコントロールする上、コーナーを予測して内側を照らす。単純なハイビーム、ロービームの切り替えだけではないところがポイントだ。

ドライバーの心がけ

最新の自動車は、最新のヘッドライトが装備されているため機械任せでもよいだろうが、従来の自動車に乗る時はどうしたらよいだろうか。

まず、ヘッドライトは道路が見づらくなってから点灯するのではなく、朝夕の薄暮の時間帯、雨天曇天時には早めのライト点灯をすべきだ。これは周囲に走行していることを知らせ、被視認性を上げ、事故を未然に防ぐためである。

また、ハイビーム、ロービームの切り替えも適宜行うべきだ。特に郊外の暗い直線道や、見通しの悪い交差点など、ハイビームにすることで視界を確保したり、周囲に自車が接近していることを知らせることができる。

自家用車であれば、ヘッドライトバルブを明るいものに交換するのも手だ。ハロゲンバルブは知らず知らずのうちに劣化し、暗くなってしまっていることもある。また、10年を過ぎるとプラスティックレンズのコーティングが劣化し、白化しているものも見受けられる。

レンズを磨くか、新品交換するなどしてフレッシュな視界を確保したいものだ。

ヘッドライトは単なる電灯、ではなくアクティブセーフティのひとつ。最新技術をうまく使って安全運転に役立てたい。

(前回の『クルマを学ぶ』はこちら) ※ 【クルマを学ぶ】縁の下の力持ち「ブレーキ」その方式と特徴 http://nge.jp/2015/09/06/post-115521

【参考・画像】

※ JAMAGAZINE 2013. OCtober #47

※ scyther5 / Shutterstock

【動画】

※ BMW i8 in detail. Laser light. – YouTube

※ 見えない!止まれない!ロービームの限界を知る【JAFユーザーテスト】 – YouTube

※ Audi TT マトリクスLEDヘッドライト イメージムービー – YouTube

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  • 電球交換しやすいライトが欲しいね。 車は交換しづらい 特にウインカー
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