『アブサン』という酒がある。
薬草系のリキュールで、ニガヨモギを中心とした素材から作られる。アルコール度は40%から70%前後と非常に高いものが多く、中には90%近いものもあるようだ。
この『アブサン』は、かつては中毒者を出すほど愛好家が多く、特に芸術家達に愛された。愛しすぎて身を持ち崩す者も出た。詩人のヴェルレーヌや画家のゴッホたちがそうだ。
魅惑的な酒だが、一時は米国や欧州の一部の国々で禁止されるなど紆余曲折があり、現在は日本では造られていない。
そして“幻のリキュール”などとも呼ばれるようになったらしい。
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しかし、この『アブサン』を、国産原料で蘇らせようというプロジェクトが立ち上がった。
幻のリキュールを国産で作る
『アブサン』はアルコール度数が高いこともあり、そのままストレートで飲まれることは少なく、ミネラルウォーターで薄めるかカクテルの材料とされることが多い。
飲み方は様々だが、良く知られたしきたりがある。
グラスに『アブサン』を注ぎ、そのグラスの上に『アブサン』用のスプーン(穴が空いたバターナイフの様なデザインが多い)を横たえ、その上に角砂糖を乗せるのだ。
この角砂糖には既に『アブサン』が染みこませてある場合が多いが、それに火を付ける。そのまま燃え尽きるのを待つこともあるが、ミネラルウォーターを注いで消すこともある。
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いずれにせよ、最後はスプーンで混ぜて飲むのだ。
この魅惑的な“幻のリキュール”を、国産品として蘇らせようというプロジェクトを立ち上げたのは、京都のリキュールベンチャーであるフルーツリキュールフリークス社だ。
既にクラウドファンディングの『CAMPFIRE』では、目標資金の578%も達成している。いかに待ち望まれているかがわかる。これで資金は充分だ。後は実際に造ることになる。
フルーツリキュールフリークス社は、まだ2014年に創業されたばかりのベンチャーで、果物を使用したリキュールの製造販売をしている。
そして今回、“幻のリキュール”と呼ばれた『アブサン』を国産素材で作ることに挑戦するという。
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本格的な味への挑戦
実は『アブサン』は、以前国内でも作られていたが、消費量や原料の調達などの諸問題で作られなくなってしまったようだ。
確かに原材料となる薬草やスパイスは、日本では入手困難なものが多いらしい。しかし同社は、国産ヨモギや国産ハーブなどの類似の国産素材を利用する事で、逆に日本産の『和風アブサン』を世界に発信したいとしている。
もちろん『アブサン』としてしっかりとした本格的な味を出すことを目指している。
アルコール度数は40〜60%前後を予定しており、1ボトル500mlで販売する予定だ。
クラウドファンディングでも多くの支持を集めているため、国産『アブサン』への期待は高そうだ。
『アブサン』ファン達とともに、『アブサン』で祝杯を挙げ、酔いしれる日は近い。
【参考・画像】
※ 【京都リキュールベンチャー:FLFS】 国産アブサンを復活させたい! – CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
※ Melenay / Shutterstock