みなさんは最近、東京で水道水を“味わった”ことはあるだろうか。
ペットボトル水がほとんどだという読者は多いかと思う。中には「かつて飲んだが美味しくなかった」ため、グラスでは全く飲まなくなったという方もいるだろう。
しかし最近の『東京水』は “かつての水道水”とは少し違うらしい。東京都水道局はその“味”をアピールするため、『東京水飲み比べキャンペーン』をこの10月に実施する。
「水道水とミネラルウォーターを飲み比べてほしい」という東京都水道局には、品質に相当の自信があるのだろう。
それはなぜなのか? 東京都の水道がこれまでとどう進化しているのか、2つのポイントをピックアップしてお伝えしよう。
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昔とは質が違う!「作るところ」と「使うところ」で品質をダブルチェック
“美味しくない水道水”としてイメージしやすいのは、いわゆる“カルキ臭”。
この発生原因の1つは、蛇口から出る水に多く塩素が残っていることだ。残留塩素は衛生確保のために必要なのだが、浄水場から送水する距離が長くなると薄まってしまう。そのため、かつてはあらかじめ高濃度の塩素を入れる必要があったのだ。
しかし今では、浄水場と蛇口の間にある給水所で塩素を追加注入できるように整備されている。作る場所と使う場所で、水質を二重に管理できるようになったのだ。
そのため、残留塩素濃度は浄水場に近くても高すぎず、衛生管理のための基準値ギリギリの濃度に低く抑えられている。
届け方も変わった!貯水しない増圧給水で蛇口に直送
配水管から建物内に水が届くまでに、かつては建物の貯水槽で一旦貯め置きされるのが一般的だった。この『貯水槽水道方式』では、貯水槽の管理状態でも品質が低下することがあるため、建物によって「水道水は美味しくない」と余計に感じてしまうのだ。
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しかし最近では『直結給水方式』に切り替えが進められている。増圧ポンプを導入することで、水を貯め置きすることなく、配水管から建物内に直接送れるようになったのだ。こうして浄水場で作ったままの品質に近い、フレッシュな水を利用できるようになっている。
いかがだろう。試しに『東京水』を市販のミネラルウォーターと比べて味わってみて欲しい。
【参考・画像】
※ 東京都水道局
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※ science photo / Shutterstock
※ Merkushev Vasiliy / Shutterstock