9月21日、22日、大阪・夢洲での初めてのライブとなる「L'Arc-en-Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」が開催された。2日間合わせて10万人を動員し、両日ともに3時間、23曲が演奏されたが、L'Arc-en-Cielのワンマンのステージは2014年3月の東京・国立競技場公演以来1年半ぶり、大阪では2012年5月のUSJ公演以来3年4か月ぶりとあって、多くのファンを熱狂させた。
「Blurry Eyes」はトランプやダイスが描かれた巨大風船が舞う中での演奏。「flower」では“空は今にも降りそそぐような青さで”というフレーズのところで、hydeが空を見上げて歌っていた。頭上に広がる空とのコラボレーションと言いたくなるような瞬間がいくつもあった。久々に演奏された初期の曲「and She Said」は歌詞の中に“道化師”という言葉が登場するのだが、今回はピエロとジョーカーがピアノとティンパニーを演奏するという演出で、ポップでマジカルな空気が漂う世界が出現。バンドの表現力がこうした曲で際立っていく。tetsuyaのハモりがこの曲に独特の哀愁を与えていた。
この曲が終了したところで、カジノを連想させる音を使った幻想的なSEが流れる中、4人が天井が開きオープンカーとなったリムジンで花道を走行して、客席後方のサブステージへ移動。ここから数曲はサブステージで演奏されたのだが、メンバーと空をとらえた映像も実に絵になっていた。tetsuyaとkenはリムジンに腰を掛け、青空にオレンジ色が混ざって、夕焼け空へと変わりつつある中での「Wind of Gold」はあたりが夕陽で輝いていて、まさに風も金色といった印象。hydeの深みのある歌もニュアンスに富んだ演奏もともに見事だった。
「夕暮れが似合う曲を聴いてください」という言葉に続いての「ALONE EN LA VIDA」では無常感漂う演奏が風に乗って深く染みこんできた。yukihiroの表情豊かなドラムも体の奥深くを揺らしていく。「tetsuyaさん、気持ちいいですか?」とhydeが聞くと、「気持ちいいですね」とtetsuya。さらに「ユッキー、気持ちいいですか?」と聞くとyukihiroがお辞儀で表現。hydeがサブステージに連れてきた白いオウムの人形に話しかけたり、腹話術風なやりとりで笑いを誘ったり。リラックスしたなごやかな空気が漂っていた。しかも空は絶景。4人ともこの特別なシチュエーションの中で演奏することを楽しんでいるようだった。5万人が一緒になって夢洲で“夢を描くよ”と歌った「MY HEART DRAWS A DREAM」は格別な体験となった。
その後半の最初の曲「trick」ではポップアップで4人が宙に跳びながらの登場。マジックショーを彷彿させる演出だ。しかも4人全員がギターを激しく弾いている。音楽的な遊び心があるところはL'Arc-en-Cielならではだ。「REVELATION」はhyde以外の3人がパーカッションを演奏している。ピエロたちが担いでいる輿の上でのhydeのコールに観客も応えていく。この曲が終了すると、ステージの左右のルーレットのセットが開いて、ステージ後方のスクリーンがワイドになっていく。そのスクリーン全面にビル群が映し出されて、「CHASE」へ。日も暮れてきて、照明を使った演出も全面的に展開されて、ダンサーも登場。ライブはさらに加速していく。「X X X」ではhydeの妖しい歌声が会場内を酔わせていく。夢洲は人工島だが、会場内から海は見えない。が、「TRUST」ではスクリーンの全面に海が広がる中での演奏。tetsuyaの深みのあるベースが海の青に映える。