生にんじんと野菜ジュース、β-カロテンを効率的に吸収できるのはどっち？

　にんじんなどの緑黄色野菜に豊富に含まれるβ-カロテン。強い抗酸化作用を持ち、体内でビタミンAに変換されて夜間の視力の維持、皮膚や粘膜の健康維持を助けるほか、肌の奥のシミ予備軍を減らす効果も期待されるなど、健康や美容のために摂取したい栄養素の1つです。

　ところでこのβ-カロテン。生のにんじんをバリバリ食べるのと、にんじんをベースとした野菜＆果実のミックスジュースを飲むのとでは、どちらのほうが良く摂取できると思いますか。なんとなく「生のにんじんを食べたほうが・・・」と思っている人も多いでしょう。

　そこで、カゴメ株式会社が実験をしてみました。成人男女12人にほぼ同量のβ-カロテンを含む生にんじんとミックスジュースを毎朝摂取してもらい、摂取前と摂取後に血中のβ-カロテン濃度を測定。濃度の変化量を算出し、どちらの摂取法で吸収量が多いかを比較しました。

　測定の結果、生にんじんを摂取した場合より、ミックスジュースを摂取した場合の方が、摂取後のβ-カロテン濃度が増加しました。さらに時間の経過と濃度の推移から吸収量を算出した結果、ミックスジュースの方が生にんじんより吸収量が多いことも判明しました。

　これにより、β-カロテンは生にんじんから摂取するよりも、加工したにんじんを使用したミックスジュースから摂取する方が効率的に吸収できることが確認されました。野菜や果実などの植物には強固な細胞壁があり、それが栄養の吸収を阻害するためと考えられます。

　細胞壁は加熱や粉砕などで壊すことができるため、ピューレやペーストなど加工されたにんじんを使用しているミックスジュースを摂取する方が効率的に吸収できるのです。手軽に美味しく飲めるミックスジュースで、効率よく栄養を摂取してはいかがでしょうか。（林　渉和子）

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