1769年に蒸気式自動車が発明され、1886年にダイムラー・ベンツがガソリン式の3輪自動車を開発して以降、既に130年近く経過したが、今も尚、クルマは車輪で地上を走っている。
一方、映画の世界では1997年に公開された米仏合同製作によるブルース・ウイルス出演のSF映画『フィフス・エレメント』で、都会に林立する高層ビルの谷間を縦横無尽に“空飛ぶクルマ”が往来する様子がリアルに描かれていた。
2214年の未来を想定した作品だが、この時代になると、もはやクルマが空を飛ぶのは当たり前で、1985年に公開された米映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも、タイムマシンとして登場する『デロリアン』が既に2015年時点で空を飛べる設定になっていた。
では、これらの“空飛ぶクルマ”が絵空ごとかというと、そうでもなさそうだ。
米トヨタが「エアロカー」の特許を出願
米トヨタの開発・生産を統括する『TEMA』が“空飛ぶクルマ”のための特許出願を、昨年3月に済ませているとして、米メディアなどで話題になっている。
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特許のタイトルは『エアロカーのための積み重ね可能な翼』。
車体上部に4枚の翼が搭載されており、地上走行時は重ねて収納し、離陸時や飛行時に展開する構造のようで、後部には垂直尾翼らしきものが設定されている。
数多くの出願の中の1点と思われるが、トヨタが空を飛ぶための機能を持つクルマを開発していることを窺わせるには十分だ。
実は同社が「空飛ぶクルマを開発しているらしい」との噂は昨年の中頃から囁かれていた。
レクサスが公開した宙に浮く「ホバーボード」は予告編か?
2014年6月にブルームバーグが、米サンフランシスコで開催したサミットに、トヨタ自動車の技術管理部の部長が登壇した際、『ホバーカー』の研究・開発を進めている事を公表したからだ。
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開発中の『ホバーカー』は自在に空中を飛べる訳では無く、路面から少し浮いた状態で滑走する模様。
折しも今年8月、レクサスのグローバルブランドキャンペーン『AMAZING IN MOTION』の一環で、超電動による磁気浮上技術で宙に浮く『ホバーボード』に乗ったプロスケートボーダーが、ステージ上を滑走する映像が公開されたが、これが『ホバーカー』の存在を暗示するものとする見方もある。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中で2015年の未来に登場した『ホバーボード』を、まさに同年に具現化した訳だ。
また世界に目を向けると、飛行機とクルマを合体させたような乗り物が既に開発されており、市販に向けた準備が進められている。
以前に、FUTURUSでも紹介したスロバキアの『AeroMobil 3.0』がそれだ。
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約25年の歳月をかけて開発された同機は、作年10月に離発着を含めた安定飛行に成功しており、開発は最終段階を迎えている。
自動車業界の若手技術集団も負けていない
日本の自動車業界にもCartivator(カーティベーター)と称する若手有志団体が「次世代の人達にモビリティを通じて夢を提供する」ことをミッションに、やはり空飛ぶ車『SkyDrive』の実現に向け、業務外で活動している。
Cartivator代表の中村翼氏は、愛知県の大手自動車会社で設計部門に所属する技術者だ。
2012年末に社会人ビジネスコンテストで優勝したことをきっかけに活動をスタートさせ、既に1/5試作機による飛行に目処を付けているそうで、2017年にかけて1/1実機を製作する予定のようだ。
2020年のオリンピックデビューを目指して開発中の機体は、全長2.9m、全幅1.3m、全高1.1mで、飛行速度100km/hを目標にしている。
こうしたことからも、PHV(プラグインハイブリッドカー)やFCV(燃料電池自動車)など、最先端の技術を誇る日本の自動車業界から近い将来、“空飛ぶクルマ”が登場しても、何ら不思議ではない。
【参考・画像】
※ TOYOTA Global Newsroom
※ AeroMobil 3.0
※ CARTIVATOR
※ zenmono
※ KPG_Payless / Shutterstock
【動画】
※ AeroMobil 3.0 – official video – YouTube
※ Skydrive zenmono PV ‐ YouTube