生命保険の未請求を回避するには

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2015年09月30日 11:11  JIJICO

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JIJICO

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保険は、請求がなければ保険金を払う義務は生じない


あなたは加入している保険で、保険金が支払われるのはどういう時か理解していますか?また、家族は、あなたがどのような保険に加入しているのかを知っていますか?


保険は、基本的には受取人等から請求がなければ保険金を払う義務は生じません。もしもの時に保険金を受け取るために加入しているはずなのに、受け取れる状況になった時、請求をせず保険金を受け取らない事案が数多くあるのです。これでは何の意味もありません。未請求を回避し保険金を有効に活用してください。


加入時に保険の保障内容の確認を


保険の保障内容は多種多様で大変難しいといえます。特約等の付け方により様々なシチュエーションで支払われますが、加入の時にある程度は確認しておくと良いでしょう。


例として手術給付金について紹介すると、加入している保険や特約により対象の手術が大きく変わります。以前の保険では88種の手術しか認められないものが多かったのですが、最近の保険では、「医科診療報酬点数表において手術料の算定対象となった手術」が対象となり、できもの等を切除しても「治療のため」であれば、保険金が支払われるケースもあります。反対に、視力回復のためのレーザー治療は最近の保険では保障されませんが、以前から加入している場合は保障されるケースもあるのです。


遠慮せず、保険の担当者に普段から連絡する


保険金が支払われるかどうか、自身で判断するのが難しいケースも少なくないでしょう。そんな時には、加入を担当した人に相談するのが一番です。普段から連絡を取り合っていると、何かあった時に担当者から「それは保険金が給付されるので請求しましょう」と教えてもらえる可能性もあります。


担当者としては保険金を支払いたいのです。というと語弊があるかもしれませんが、せっかく保険に入っていただいたのだから、必要な時に保険金を支払うことで、「保険に入って良かった」と思ってもらいたいものです。「こんなことで連絡するのは…」などと遠慮せず、どんどん連絡してください。


また、ネット等で加入した場合は、担当者がいませんが、疑問点はすぐにサポートセンターに連絡するようにしましょう。


どのような保険に加入しているか家族への周知を徹底


「保障内容の把握」と「担当者との連絡」については、自身が気を付けていれば請求することができますが、自身が死亡・認知症等で請求できない、というケースも多々あります。未請求で問題なのが、このようなケースなのです。


以前、「保険金不払い」がマスコミ等に取り上げられ、大きな社会問題になりました。そこで、不払い等を少なくするため、保険会社自ら調べて支払うようにしているのですが、保険会社が契約者の死亡等を把握するのは難しいのが現状です。特に、すでに保険料の払込が済んでいる「払済保険」などの場合、保険料の請求等が届かず、家族は加入している保険に気づく機会さえありません。


常日頃から、自身がどのような保険に加入しているか、家族と話しておいたり、保険証券の置き場所を決めておくと良いでしょう。もしものときに備えて遺言やエンディングノート等に残すことも有効です。


また、保険金受取人もすでに死亡している、というケースもあり、その場合は、連絡先すらわからない状態になります。保険会社が加入者本人と連絡が取れなくなると、親族を探せる範囲で探すこともありますが、見つからないことも少なくなりません。このような状況は担当者と連絡を取り合うことで、受取人の変更等の手続きに気づき、回避できます。


なお、元気なうちに後見人を決めて保険会社への連絡や、財産・保険金等ついて決めておくと、安心できると思います。早めに行動しましょう。



(佐々木 茂樹・ファイナンシャルプランナー)

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