世界で最も人気のあるスポーツとも言われるサッカー。ここ日本でも、Jリーグ発足やジョホールバルの歓喜、ワールドカップ初出場や自国開催、邦人選手の海外での輝かしい活躍など、この20数年の間に瞬く間に普及した。
輝かしいスタープレイヤーが多く登場し、ファンを魅了してきたこの競技の歴史は、同時に選手が身につけるアイテムの進化の歴史でもあった。それに伴い、多くのサッカー少年が、ジダンだのベッカムだのといったスタープレイヤーのレプリカスパイクを買っては、その気分に浸っていた。
テクノロジーの劇的な変化
数十年前と比べると、現代のサッカーシューズはより軽く、力強く変化している。
ボールに鋭い回転がかかるもの、素足に近いタッチ感覚が得られるもの……、これまでも時々の最先端のテクノロジーを駆使したさまざまなシューズが登場してきたが、このほどアディダスは環境に配慮した“未来のフットボール・スパイク”のコンセプトを発表した。
いったいどんなシューズなのだろうか。
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カスタマイズや再生利用が可能で廃棄物ゼロに?
先日アディダスは、二度と捨てられることのない新しいかたちのスポーツ用品に関するプラン『Sport Infinity(スポーツインフィニティ)』を発表。
これはアディダスが欧州委員会による援助を受け、主導する研究プロジェクトで、破損してしまったスポーツ製品と他の産業からの余分な材料とをひとつに組み合わせていくという先端的な取り組みだ。
要約すれば「カスタマイズや再生利用が可能で廃棄物ゼロのスポーツ用品についてのプラン」と言うことができるだろう。
このプランにより、フットボール製品に関わるクリエイターたちは、3Dの高機能素材を使用し、彼らにとって最高の製品を再利用できるようになるとのこと。
近い将来には、航空機製造に使用される炭素や、ワールドカップでのゴールを生み出したスパイクに含まれる繊維など、あらゆるものが取り込まれたスパイクが登場する可能性もあるのだ。
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目標はシューズを使い捨てる習慣を終わらせること
世界最優秀選手賞に4度も選ばれた、バルセロナ所属のアルゼンチン代表選手リオネル・メッシは、『Sport Infinity』について次のように述べている。
<私が着用するスパイクも含め、すべてのスパイクを環境保護を念頭において作ろうとするアディダスの努力を誇らしく思います。私にとって、これはフットボールの未来を象徴するものです。>
また同社のテクノロジー・イノベーション部門バイス・プレジデントGerd Manz氏は「これは、フットボール・ファンにとって、まさしく革新的な開発となるものです」とコメント。
同氏はさらに、今後3年間でシューズを使い捨てる習慣を終わらせる、という野心的な目標を掲げている。
そうした習慣に代わり「スパイクの一足一足を単なるリサイクル品にとどまらせず、消費者が個々に希望する仕様に対応できるよう再考してまいります」ということだ。
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環境保護に力を入れた今回の斬新なプロジェクト。今メッシが履いているスパイクも、いつかはまた別の誰かのサッカーシューズへとリサイクルされる。
いつかはそうしたシューズの“パス交換”を通じ、新たなスーパースターが生まれる日が来るのかもしれない。
【参考・画像】
※ 今メッシが着用しているスパイクも、後に誰かのスパイクへとリサイクル可能に アディダス、カスタマイズや再生利用可能で廃棄物ゼロのスポーツ用品プランを発表 – PR TIMES
※ Monkey Business Images / Shutterstock