駅前にとまっている自転車をみると、最近随分電動アシスト付き自転車が増えてきたと感じることが多いだろう。
実際自転車販売数はここ数年伸び悩んでいる中、電動アシスト付き自転車は順調に増加しているという。特に坂道が多い地域の人や、子供を2名乗せる奥様方にとって電動アシストの効果は絶大だ。
しかし、そういった背景もあり、電動アシスト付きのイメージは“高齢者向け”、“The ママチャリ”、“スマートではない”と評価は芳しくない。そこで今回ヤマハ発動機は、これまでの常識を打ち破る、新感覚・新ジャンルを開拓するという。
ハイブリッド・ロードバイク 「YPJ-R」
これまでヤマハ発動機の電動アシスト付き自転車は、『PAS』というブランドで展開していたが、今回投入するロードバイク型アシスト付き自転車は新しいブランド『YPJ(Yamaha ProJect)』を使う。ヤマハのスポーツバイクを彷彿とさせる3文字のアルファベットは、それだけでも高揚感、スピード感を感じることだろう。
徹底的な軽量化により体積・重量ともに大きなバッテリー、電動ユニットを合わせても約15kgに収めることに成功。
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特に気を配ったのは高い速度域での巡航性能。法規により24km/hまでしかアシストされないため、これまでの電動アシスト付き自転車ではそれ以上の速度ではかえって重くツラい乗り物になっていたが、そのデメリットを払拭。
通常のロードバイクのもつ高速巡航性能、爽快感を実現するために電動ユニットのフリクションを限りなくゼロに近づけ、定評のあるシマノ製22段外装変速機を採用している。
USB電源、モバイルバッテリーとしての利用も可能
小型・軽量の2.4Ahリチウムバッテリーは電動ユニットだけではなく、脱着可能な高機能サイクルメーター、外部USB電源に電源を供給する。バッテリーは取り外し、アダプタを装着するとUSB端子を2つ備えたモバイルバッテリーとしても利用可能。スマホが手放せない我々にとっては実に助かる機能だ。
サイクルメーターは取り外して持ち運べる。これがないと電源が入らないため、多少なりとも防犯効果が期待できる。
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体験試乗
実際に『YPJ-R』をロードコースで試乗、乗り味を体感してきた。強い風が吹き、雨がぱらつくあいにくの天気であったが、アップダウンとコーナーのあるコースは電動アシストの効果を実感できる。
筆者は電動アシスト付き自転車『PAS』の小径車『CITY-X』を普段利用しているが、20km/hを越えてアシスト量が減ってくると次第にツラくなってくるが、この『YPJ-R』はそこからが本領発揮。ロードバイクらしい、軽い漕ぎ味が魅力だ。
アシストなしで最大勾配4パーセントの坂道を上がるには、ギアチェンジを行い軽いギアを選択するが、アシストONであればギアチェンジなしでグイグイと上がっていける。平坦路では普段運動しない筆者でも、汗をかくことなく約40km/hで巡航することができた。
ロードバイク分野もハイブリッド化するか?
自転車、とくにロードバイクがブームとなっているが、一方で電動アシスト付き自転車はロードバイク乗りからは“邪道”、“重い”、“遅い”と敬遠されてきた。
自分の足がエンジンといってストイックに鍛錬をするのもいいが、栄養補給不足によりハンガーノック、突然血糖値がさがり気分が悪くなったり、動けなくなることもある。ハンガーノックはなってから対策しても時すでに遅く、回復には相当な時間が必要だ。
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レースに出るならともかく、普段の楽しいサイクリングをするのであれば、いざというときにアシストしてくれる電動ユニットは頼もしい“保険”だ。平坦路ではアシストオフで走行、坂道や疲れたときにアシストしてもらって健康的に帰宅する、そんな使い方がよいだろう。
特に今回法規でアシストオフとなる24km/h以上の速度域でも違和感なく軽快に走行できたのは、特筆すべきことだ。
これまでロードバイクに電動ユニットをつけることに拒絶反応があった日本の市場に風穴をあけるのか、今後の自転車乗り、他メーカーの動向に注目だ。
【参考・画像】
※ YJP-R スペシャルサイト – ヤマハ発動機
※ 電動アシスト自転車の新スポーツブランド「YPJ」第一弾 ロードバイク「YPJ-R」を新発売 爽快な走行性能を実現した新コンセプトの軽量電動アシストスポーツ自転車 – ヤマハ発動機