ビルは照明や空調等に多くのエネルギーを消費する。しかし、その消費以上に自らエネルギーをつくり出すビルがフランス・リヨン市に誕生した。
自らエネルギーをつくり出す「HIKARIビル」
今年9月17日に竣工したこの『HIKARIビル』は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、東芝および東芝ソリューションが受託した、スマートコミュニティ実証事業でつくられた。
竣工後は、ビル内で生成するエネルギーが消費量を上回る『ポジティブ・エナジー・ビルディング(PEB)』の実現を目指して、18ヶ月間の予定で実証がおこなわれる。
東芝が取り組むプロジェクトだが、実はこのビルでエネルギーをつくる創エネ機器は東芝のものではない。
屋上の太陽光発電パネルはパナソニック製、壁面の太陽光発電パネルは旭硝子製、吸収式冷凍機は矢崎総業製だ。そして菜種油を燃料とするコージェネレーションシステムは、フランスのメーカー製なのだ。
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東芝の技術が使われるのは、エネルギーをムダに使わないための“監視・制御”部分だという。
東芝はエネルギー管理システム(EMS)で統合管理することで、ビルのエネルギー消費量を10%以上削減し、余剰電力をつくりだす。これにより、ビルの入力エネルギーの年間総和よりも出力エネルギーの年間総和の方が大きくなり、年間のエネルギー収支がプラスになるのだ。
「HIKARIビル」の注目機能
『HIKARIビル』はオフィス・住居・店舗からなる複合ビルだが、それぞれでエネルギーが“監視・制御”される。
東芝技術が多数導入されるが、中でも注目したいのが『画像人感センサー』と『OMOTENASHI HEMS』だ。
『画像人感センサー』は、オフィスや共用部分に導入される。従来の赤外線センサーよりも細かい検出が可能なため、デスクワークで動きが少ない場合でも正しく“在席中”と認識できるのだ。
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また、検知エリア内の人数も測定して、制御のための情報として活用する。
『OMOTENASHI HEMS』は住居部分に導入される。
全室内に配置された人感センサーの情報を元に居住者の行動を推定し、例えばシーンに合わせてエアコンの運転モードを調整するなど、家電機器を自動制御する。
細かい制御をすることで、快適さは保ちつつエネルギー消費量を削減できるのだ。
東芝はリヨン市のPEB事業の他に、世界中で30以上のスマートコミュニティ事業に取り組んでいる。
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『HIKARIビル』も含めて今後の動向に注目していきたい。
【参考・画像】
※ フランス・リヨン市でポジティブ・エナジ−・ビルディング(PEB)構築の実証を開始 – 東芝