「神奈川のドバイ」武蔵小杉の「タワマン」から落下物あいつぐ・・・どんな犯罪か?

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2015年10月12日 09:31  弁護士ドットコム

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眺望が魅力とされて大人気のタワーマンション。その高層階から、ペットボトルや皿などが落とされる事件が多発している。駅前にタワーマンションが林立して「神奈川のドバイ」との異名もある神奈川県川崎市の「武蔵小杉エリア」でも事件が起き、住民に不安を与えている。


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報道によると、川崎市の武蔵小杉駅近くののタワーマンションで9月末、路上への落下物が何度も目撃される騒ぎがあり、警察も出動したという。9月24日には陶製の皿が落下して粉々になっていた。その3日後には、ペットボトルが落とされていた。幸い、けが人は出ていないが、多くの通行人が頭上を気にしながら歩く羽目になっている。



高層階から落としたものは、2階や3階からの落下物に比べ、何倍もの破壊力があるというのは常識だ。落とした人物は、その危険性も分かっているはずだが、どんな犯罪になるのだろうか。永芳明弁護士に聞いた。



●もし通行人を狙っていたら「暴行罪」の可能性も


「軽犯罪法1条11号には、『相当の注意をしないで、他人の身体または物件に害を及ぼすおそれのある場所に物を投げ、注ぎ、または発射した者』は、拘留または科料に処するという規定があります。報道によると、神奈川県警は、この条項に該当する可能性があるとして、捜査を行っているようです」



軽犯罪法違反も、犯罪であることには変わりないが、その刑罰は、拘留(30日未満)か、科料(1万円未満)と極めて軽い。だが、場合によっては、それよりも重い罪に問われる可能性があるという。



「もし、仮に、ペットボトル等を落とした人が、通行人を狙っていたとしましょう。その場合は、通行人に対する暴行罪(刑法208条)が成立し、『2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料』に処せられることも考えられます。また、その通行人がけがを負った場合は、傷害罪(刑法204条)となり、『15年以下の懲役または50万円以下の罰金』が課せられることもあります。



ただ、いずれも適用されるのは、自分の意思で落とした『故意犯』だけです。たとえば、うっかり落としてしまったような過失の場合は、罪に問えません」



では、単なる「うっかり」の場合は、落とした人の責任は問われないのだろうか。



「いいえ。うっかり落としたとしても、通行人のけがなど何らかの結果が発生した場合は、過失傷害罪(刑法209条)が成立する場合があります。告訴されると、30万円以下の罰金または科料が科せられることもあります。また、罪に問われなくても、民事上の不法行為として,損害賠償請求を受けることが考えられます。



通行人からすれば、過失であっても、危険にさらされることには変わりありません。たとえ犯罪にならなくても、高層階に住んでいる人は、注意すべきでしょう」



永芳弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
永芳 明(ながよし・あきら)弁護士
滋賀弁護士会刑事弁護委員会委員、貧困問題対策プロジェクトチーム委員長、犯罪被害者支援センター副委員長、日本弁護士連合会・刑事弁護センター委員、貧困問題対策本部委員
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/


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  • …上司の家、隣がマンションだが住人の中国人が窓からゴミを投げ捨てるので隣地との境界がゴミだらけらしい。
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