交渉中だった環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPP)が、ついに大筋合意したと報じられた。
参加国間で、関税の撤廃を含む、自由貿易を促進する取り組みで、その領域はこれまで“聖域”とされた分野にまで及び、産業界に大きな影響を与えている。
今回はその中でも、自動車産業に与える影響をざっくりまとめてみたい。
自動車本体の関税ゼロへ
現地生産された自動車のうち、どれだけの部品を現地で調達したかの割合、原産地規則は55%に設定。これを満たせば関税ゼロとなり、販売面で有利となる。
また、主要マーケットのアメリカに対して、日本から輸出される自動車本体は現在2.5%の関税があるが、25年かけて撤廃するという。
|
|
日本で生産された、自動車部品の輸出に関しては即時撤廃、エンジンやパワステなどの一部部品については5年、7年といった年限を設定している。
対カナダでは6.1%の関税を5年かけて撤廃、ベトナムについては排気量3,000cc以上に対して70%の関税だったのを10年かけて撤廃する。
自動車業界は歓迎ムード
このような動きに対して自動車メーカー、部品メーカーはすぐに大きな影響はないものの、全体的に歓迎している。
内需が伸び悩んでいる日本市場に対し、規模の大きな北米市場、今後の市場拡大が予想される新興国市場に対し、関税撤廃は長期的にみれば日本経済に対して大きな影響をもつだろう。
一方で、TPPはさまざまな分野での政治的な取引であり、別の分野で譲歩したとみられ、アベノミクスを推進する日本にとって、全体的にどんな結果になるかはさまざまな予想が飛び交っている。
|
|
軽自動車、マイクロカーの未来
当初、日本独自の軽自動車の規格について、“参入障壁”だと指摘された経緯があるが、取引材料とされただけで、結果的には軽自動車マーケットは守られた格好だ。
今後の少子高齢化においてシティコミューター的役割の軽自動車、そしてモーターを使ったマイクロカーの分野は発展が予想される。
逆に、軽自動車が輸出される時代がくるかもしれない。
【画像】
|
|
※ Sofiaworld / Shutterstock
※ IYO / PIXTA
※ tenjou / PIXTA