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前夫と離婚協議をしている間に、別の男性の子どもを妊娠・出産した女性とその家族が10月15日、生まれた子どもを「前夫の子」と推定する民法の規定は憲法違反などとして、国に300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。原告は、静岡県の20代男女とその間に生まれた子ども。女性が前夫と離婚する直前に交際相手の子を出産したため、法的な父子関係が認められず、精神的な苦痛を受けたとしている。
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訴状によると、女性(Aさん)は前夫と別居を始めた後に男性(Bさん)と知り合い、離婚協議中に妊娠。今年5月に出産し、その11日後に前夫との離婚が成立した。
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しかし、民法772条は「妻が婚姻中に妊娠した子は、夫の子と推定される」と規定している。そのため「前夫の子になってしまう」という理由で、2人の間に生まれた子の出生届を出すことができず、子どもは出生時から現在に至るまで戸籍がない状態が続いている。
弁護団は、この民法の「嫡出推定規定」が憲法に違反していると主張する。幸福追求権を定めた憲法13条によって「父を求める権利」や「子がその出自を知る権利」も人権として保障されているが、嫡出推定規定はそれに反しているという理屈だ。
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また、2人は結婚を望んでいるが、女性に限って離婚後6カ月以内の再婚を禁止する民法733条の規定により、今年7月に提出した婚姻届は不受理となり、現在も再婚できていない。その点についても、再婚禁止規定は違憲だとして、精神的損害の賠償を求めている。
再婚禁止規定をめぐっては、岡山県の女性が違憲だとして国を相手に訴訟を起こしている。11月に最高裁大法廷で弁論が開かれ、早ければ年内にも憲法判断が示される見通しだ。
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提訴後、原告の男女と代理人弁護士らが、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見を開いた。
代理人の高取由弥子弁護士は「(嫡出推定は)子どものためになっていない規定。明治時代につくられたものが、今の時代にマッチしていない。子どものための法律の規定が、子どもの権利を侵害している」と訴えた。
また、子どもの父親であるBさんは「好き同士で一緒に暮らしてて、子どももいて、なんで結婚しちゃいけないのかわからない」と、民法の再婚禁止規定への疑問を口にしていた。
今回の訴訟と並行して、母親のAさんらは、Bさんを子どもの「法的な父親」と認めてもらうため、東京家庭裁判所に「強制認知の調停」を申し立てている。
(弁護士ドットコムニュース)
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