海水浴客が、大挙して押し寄せる有名ビーチほど水がキレイになっていくなんてことが起こるかもしれない。
というのは、カリフォルニア大学リバーサイド校を含む研究チームが、“水を浄化する機能”を持った素材を使って、水着を作ってみせたのだ。
水は弾いて、有害物質は吸着
研究者たちが“スポンジ”と呼んでいるその素材は、加熱したショ糖(砂糖の一形態)から作られ、多孔性でありながら強い疎水性を持つ。
水は弾くのに、有害物質は吸収するのだ。
「これは、環境には無害で、費用対効果の高いスーパー素材です」と同大学のMihri Ozkan教授はいう。
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下の動画『A Bathing Suit that Cleans the Ocean – YouTube』を見ると、その素材が有害物質を吸収する様子がわかる。
これは4年ほど前から、石油や化学薬品の浄化、あるいは水の脱塩処理のために開発されてきた素材だ。
また、この撥水性能から、航空機や人工衛星の塗装、またはUAV(無人機)の電磁シールドなどにも適用できると考えられている。
そして、この素材を身につけるものに使うことを考えたのは、ニューヨークとイスタンブールに本拠地を持つ建築・デザインの会社であるEray Carbajoのチームだった。
彼らはOzkan教授らの研究室を訪れて、一緒に水着を作り上げた。
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その“スポンジ”と呼ばれる素材を、3Dプリンターで網目のように成形したエラストマー(高分子材料の一種)のケージで包むことによってビキニの形の水着を作ったのだ。
もちろん、ビキニだけでなく、スイミングキャップやウエットスーツにすることも可能だ。
リサイクルも可能
この“スポンジ”と呼ばれる材料は、自身の重量の25倍もの物質を吸収することができ、華氏1,000度(摂氏約538度)で熱しない限り放出することはないという。
また、有害物質が吸収されても、それは“スポンジ”の中の孔に捕らえられて、皮膚に触れることはない。
“スポンジ”は使い古したら新しいものに交換し、古いものはリサイクルできる。テストによれば“スポンジ”はその吸収性能を低下させることなく、20回もの再利用が可能だったという。
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「水着で海を浄化する」というと規模が違いすぎて大したことなさそうだが、自分の重量の25倍もの不純物を吸着できるときくと、結構な効果がありそうな気もする。
もちろん、水着というのはこの素材のひとつの用途にすぎず、様々なものへの応用が期待できる。
いまは「混んでいるし汚い」なんていわれている海水浴場も、将来はその評判がガラッと変わるかも!?
【参考・画像】
※ Cleaning Water One Stroke at a Time – UCR Today
【動画】
※ A Bathing Suit that Cleans the Ocean – YouTube