ホンモノの臓器のような伸縮性と弾力を持つ素材が未来を切り拓く!?

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2015年10月19日 22:00  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

これまでも人工心臓や補助人工心臓といったものは開発されてきたが、たいてい円筒形のプラスチックなどでできていて、あまり生き物っぽい感じではなかった。

しかし、これは従来の人工心臓とはだいぶ趣が異なる。伸縮性や弾力を持つフォーム(多孔性)素材で作られた人工心臓(の試作)だ。

アメリカ・ニューヨーク州のコーネル大学による研究である。

まずは義手を製作中

コーネル大学の研究チームは、軽量で伸縮性のある新しい形状記憶フォームを開発した。

その新素材は、発泡素材でできていて、つながった多数の孔を持つことが特徴で、その孔を使ってポンプとして働かせることもできるところが独特だという。

その新素材は、義肢や人工臓器、あるいは“ソフトロボット”などに応用することが期待されている。

このポリマーフォームは、液体の状態から始まって、孔を生じながら形を作り上げていく。

そして、最大で約3倍の伸縮性を持ち、その孔による通路を使って、気体や液体のポンプとしても使うことができるという。

体内の臓器などに適用する場合には、政府の試験や認可が必要だが、義肢の製作には近づいているという。

「私たちは、この方法で義手を作るための研究を行っています」と、論文の執筆者のひとりRob Shepherd氏は語っている。

多孔質のためポンプとしても使える

また、この論文のなかで、研究チームは、人工心臓を模したポンプを発表している。これは心臓の機能だけでなく、形状も本物に近づけたものだ。

研究チームは、カーボンファイバーとシリコンをこの構造に採り入れることで、表面における素材の伸縮率を変えた。

これによってこの人工心臓は膨らんだときには球体からタマゴ型に形状を変えることができるようになった。

<この論文は、このアクチュエーターの多孔性の効果を調査したものですが、今後われわれはこのアクチュエーターをもっと素早く作動するようにし、さらに強度を高めたいと思っています。また、生体が拒否反応を起こさないようにすることにも注力してきます。>

とShepherd氏はいう。

実際の生体に近い性質を持つ素材の人工臓器や義肢が開発されれば、メリットは大きいだろう。

将来の人工臓器や義肢は、機械的な外観ではなくなっていくのかもしれない。

【参考・画像】

※ Video: Cornell researchers create artificial foam heart – Cornell University

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