以前お伝えしたように、1/32スケールのミニ四駆を1/1スケール、つまり実車化するプロジェクトが進行していた。
10月18日(日)MEGA WEBでその完成披露、デモ走行が行われた。
1/1ミニ四駆 実車版「エアロ アバンテ」とは
タミヤのレーシングバギー『アバンテ』のミニ四駆版が『アバンテJr.』。
その正統なる後継が空力フォルムをまとった『エアロ アバンテ』だ。
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ミニ四駆は1/32スケールを標榜しているが、実際には1/1スケールモデルは存在せず、あくまでも“架空のモデル化”という位置づけであった。
今回タミヤが取り組んだのは、これを実車化、1/1スケールに“スケールアップ”しようというものだ。
このスケールアップにともない、最新の技術と匠の技を組み合わせたという。
完成した1/1モデルは、まさに1/32モデルと瓜二つであり、どちらが先にあったか分からないほどだ。
とはいえ、人間が乗れるようにした実車化にあたり、大変な苦労があったという。特に狭いコックピット、ミニ四駆にはないステアリング機構やサスペンションなど、実際に人が乗って走れるようにするための“デフォルメ”を迫られたという。
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しかしその苦労のかいが実り、ハイクオリティな再現度と走行を実現した。
気になるスペックは?
・サイズ:L4,650×W2,800(前後バンパー含む、含まず2,050)×H1,440 mm ・ボディ全長:4,150mm ・最低地上高:150mm ・エンジン:4ストローク矯正空冷水平対向4気筒OHV 1,600cc 最高回転数7,000rpm キャブレター式ガソリン燃料 ・ギア:4速(後進1速) マニュアル操作 ・サスペンション:コイルオーバーサスペンション ・ホイル:KMC XD801 CRANK クローム 22インチ ・タイヤ:295/30ZR22 ・定員:1名
エンジンはVWビートルのものを流用、パイプフレームに縦置きにしたリアエンジン・リア駆動。
残念ながら複雑な4輪駆動機構は再現されなかったが、レーシングバギーであるアバンテらしく、バギーと同じ構造となっている。
ミニ四駆は単三乾電池2本と130モーターを使った完全なEVであるが、この実車版では、レーシングカーの魅力と迫力を伝える意図から、あえてエキゾーストノートを高らかに奏でるレシプロエンジンをチョイスしたという。
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キラキラ輝く夢のマシン
この実車版『エアロ アバンテ』はデモ走行後、MEGA WEBで展示されたが、黒山のひとだかりであった。大人から子供までスマホ、タブレットをもちだし写真を撮影。
一目でみてわかる“カッコよさ”に魅了されたのだろう。
昨今の日本車メーカーのラインナップをみると、どこも実用車ばかりで、“夢のある”マシンはあまり見かけない。近々東京モーターショーが開催、数多くのコンセプトカーが展示されるが、実車版『エアロ アバンテ』のようなインパクトのあるマシンは、なかなかお目にかかれないことだろう。
“若者のクルマ離れ”が叫ばれて久しいが、もっと深刻なのは免許を取る前の子供たち、小学生から中学生である。
彼らが免許をとる5年後10年後、果たして彼らが自動車に興味をもつのか、そして魅力のある自動車があるのか。今のような画一的なラインナップでは悲観的にならざるを得ない。
実用車だけでなく、目をキラキラ輝かせるような“マシン”で、もっと夢を見せてあげるべきだろう。