便秘薬も、便秘そのものも、あなどっては危険

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2015年10月21日 20:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

過度に薬を恐れず、医療者と対話しながら治療することが重要

 便秘薬服用での死亡例が4件あった(ただし、因果関係が否定できない症例は1件のみ)※1という衝撃的な発表が最近ありました。問題の薬は酸化マグネシウムで、具体的製品名は「マグミット」「マグラックス」「酸化マグネシウム」などですが、医療現場ではむしろ「カマグ」「カマ」と呼ばれます。このような通称があるくらいに汎用され、「便秘治療といったら、まずカマグ」です。歴史も古くて安全性が高い薬とされ、後発薬も多数あって値段も安く、実際に最も処方量が多い便秘治療薬です※2。

 死亡例での原因となった副作用は「高マグネシウム血症」です。要は薬の成分が体外に排泄されないのにどんどん「カマグ」を追加投与したために起きた症状です。腎臓が悪い人や高齢者などが長期間服用すると発生することがありますが、定期的に血液検査をしてマグネシウム濃度を測れば防ぐことができる副作用です。逆に、数年前にこれも大きく報道されましたが、「便秘そのものが原因で死亡してしまった例」もあるくらいですから、特に慢性の便秘症状に対しては過度に薬を恐れず、信頼できる医療者と丁寧に対話しながら治療することが重要です。

 ちなみに、一般的な便秘薬には大きく2種類があり、腸を刺激して便を出しやすくするタイプと、腸内で水分を集めて便を膨らませて柔らかくするタイプに分かれます。腸の動きが弱い場合は前者を、便が詰まっている場合は後者を使います。作用機序が違うので、2タイプを併用することもあります。「カマグ」は後者の代表格です。

※1. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構。2012年4月以降の集計。なお死亡例以外も含めた合計数は、高マグネシウム血症29 例、うち因果関係が否定できない症例19 例。
※2. 『QLifeお薬検索』の処方実績データより

便秘を防ぐ、毎日のうんちチェックとは

 便秘で困るのは、いったん便秘気味になり始まるとうんちが大腸に長時間とどまりますから、水分が抜けて硬くなってよけいに腸内で動きにくくなり・・・と悪循環に陥りがちなことです。そして便秘は、裂肛(切れ痔)の原因になったり、私たちの腸内細菌に影響を与えて肌の不調、血行不良、腹痛など身体のあちこちにさまざまな症状を引き起こします。

 便秘が増えるシーズンはなんといっても寒くなる冬です。ですから今のうちに、うんちの変化観察を始めましょう。チェックポイントは、形(柔らかさ)と色です。「バナナ型」「黄褐色」なら正常ですが、「コロコロ型/うどん型」「黒っぽい」は便秘の危険信号。

 うんちは「食べカスのかたまり」と誤解している人が多いですが、実際には3分の1が生きた腸内細菌、3分の1がはがれた腸粘膜、残りが食べカスです。ここで重要なのは腸内細菌で、わずか1g(乾燥ベース)のうんちに1兆個の菌が含まれます。そして危険信号うんちでは、悪玉菌が優勢です。代表格はウェルシュ菌やブドウ球菌などで、硫化水素やアンモニアなど腐敗物質を生み食中毒の原因にもなります※3。

 便秘の予防は、皆さんご存知のとおり食物繊維と水分の充分な摂取です。そして腸管運動を活発にしたり筋肉をつけるために、適度な運動習慣(ウォーキングなど)を心掛けるようにしましょう。(QLife編集部)

※3. 辨野義己,『大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌』ほか

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