ここのところSport Utility Vehicle(SUV)の人気が上昇中だ。9月に開催されたフランクフルトモーターショーでは、そうそうたる自動車メーカーが次々とSUVを出展し話題となった。
またつい先日、『新型BMW X1』が発表されるなど、まさにSUVが業界を席巻しつつある。
そんなSUVは、もともとはその機能性、アウトドアでの実用性が評価されていた。しかし最近では、デザイン性のよさも大きな魅力となっている。
今回はSUVの人気の理由を掘り下げてみたい。
SUVの定義
セダン、クーペ、ハッチバックといったジャンルが長い歴史を持つのに対し、SUVは比較的新しいジャンルで歴史は浅い。
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もともとはオフロード用、クロスカントリー、ピックアップトラックといった車体から派生。
スポーツユーティリティ、つまりアウトドアでのアクティビティを楽しむための自動車として比較的曖昧な定義となっている。
オフロードを走破するため四輪駆動が多いが、必ずしも必須条件にはなっていない。
また、車体も本格クロカンモデルのようなフレームボディではなく、モノコックボディを採用するものもある。
日本におけるSUV人気のさきがけ
日本におけるSUV人気のさきがけはトヨタ『RAV4』と言われている。
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『初代RAV4』はFFのセリカ等のコンポーネットを流用した4WDモデルであり、ボディはモノコックとなっている。
それまでクロスカントリーといえば、強固なフレームボディだったのに対して“軟派”なイメージのあるモノコックボディだったが、CMキャラクターの木村拓哉を起用したこともあり爆発的な人気となった。
これによりSUV市場が開花し、ホンダ CR-V、スバル・フォレスター、日産エクストレイルなどの呼び水となった。
最近のSUV人気
SUVが人気なのは、何も日本だけではない。
海外でもSUVは人気であり、ポルシェ・カイエン、マカンやBMW Xシリーズ、Audi Qシリーズといったハイ・パフォーマンスのSUVが次々と投入されている。
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その上あのランボルギーニもウルスで高級SUVに参入するという。
この背景には中国や経済成長が目覚ましい新興国では道路事情が悪く、悪路走破性の高いSUVは走りやすいといった事情があげられる。
EVで人気のテスラも、次期投入する『モデルX』はSUVだ。
日本ではゴルフやスキー、スノボ、キャンプなど、荷物を載せなければならないスポーツアクティビティを背景に人気が高まったが、昨今では単純に“デザインがカッコイイ”という理由で人気があるという。
確かにセダンのラインナップが消え、四角いミニバンと似たようなコンパクトカーが主流の日本市場において、SUVは比較的個性的なデザインであったり、機能美を打ちだしたものとなっているため、魅力的だ。
SUV ジュークやエクストレイルが人気の日産は、東京モーターショー2015でシリーズ・ハイブリッドEVシステムを採用したSUV、『グリップス コンセプト』を公開する。
リーフで培ったEVに、エンジンによる発電機能を組み合わせたハイブリッド車となる。リーフで心配だった電欠もこれならば心配なく、雪山でも安心して行くことができるだろう。
群雄割拠のコンパクトSUV市場
SUVの中で、特に最近人気なのはコンパクトカーをベースにしたコンパクトSUVだ。
マツダはデミオベースのCX-3、ホンダはフィットベースのヴェゼルを投入。いずれもクリーン・ディーゼルやハイブリッド技術を使うことで燃費がよく、人気となっている。
BMWはXシリーズの中でもっとも小型の『X1』をフルモデルチェンジ。
これまでFRベースであったが、このモデルからFFのMINIとプラットフォームを共有、コンパクトにしつつも室内スペースを拡大するなど実用性をアップさせている。
軽自動車でもSUVは人気、スズキ・ハスラーの成功をみてダイハツもキャストをぶつけてきている。
このSUV人気はしばらく続くことだろう。もしかしたら10年後、ミニバンがラインナップから消え、SUVだらけになっているのかも知れない。
【参考・画像】
※ 新型BMW X1を発表 – BMW GROUP
※ TOYOTA、新型RAV4を発売 – TOYOTA
※ テスラ・モーターズ MODEL X