環境に配慮しながら、効果的で快適な移動を実現する、新しい交通手段やシステムなどを指す言葉が『スマートモビリティ』。
現在、様々な企業や自治体などが取り組んでいる新しい試みなのだが、それらの中でホンダ(本田技研工業)は、
「FCV(燃料電池車)やEV(電気自動車)だけでなく、エネルギーも作る」
ことを表明。現在東京モーターショーで開催中の『スマートモビリティシティ2015』に、そのコンセプトを具現化したブースを出展しているので紹介しよう。
新型FCVに電気をためて外部に給電
2年に1度のクルマの祭典、『東京モーターショー2015(10月30日〜11月8日・東京ビッグサイト)』と同時開催されているのが『スマートモビリティシティ2015』だ。
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その会場内にあるホンダ・ブースでは、大きく分けて2つの提案をしている。まずは“水素エネルギー”を使ったインフラやモビリティの社会だ。
ブースの約半分を占める“水素”セクションには、中央に発表されたばかりの新型FCV『クラリティ FUEL CELL(以下クラリティ)』を展示。
水素と酸素の化学反応でできた電力を使って走る燃料電池車で、トヨタの『MIRAI』に続き、近々市販が予定されているモデルだ。
『クラリティ』は、世界で初めてセダンタイプのボンネット内に、燃料電池パワートレインを全て収めたのが特徴。大人5人がゆったりと乗れて、快適な走行が楽しめるクルマだ。
『クラリティ』の隣には、ホンダとイワタニが共同開発した、FCVに水素を充填する設備“水素ステーション(水素ガス充填所)”も展示。
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現在、さいたま市などで実証実験を行っているこのステーションは、ホンダが開発した水と電気から高圧水素を作る超小型の『パワークリエーター』を採用する。
一般的な水素ステーションよりも省スペースなのが特徴で、まさに「エネルギーもつくる」という、ホンダのビジョンを具現化したものだ。
また、クルマにためた電力を、外部給電できる『パワーエクスポーター9000』も展示。
これは、FCVやEVから、最大9kVAの交流電気を供給できるもので、アウトドアでの使用はもちろん、災害時の非常用電源としても活用できるもの。いざというときにスマホを充電できるというのは、現代人にとって非常に心強い。
現在、鳥取大学と共同で、医療用機器への給電の実証実験も行っていて、被災地の救護テント内での使用なども期待されているものだ。
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超小型EV用バッテリーは家やコンビニで充電
一方、“電気”セクションには、超小型EVの『MBEVコンセプト』を展示している。
オフロードタイプの2人乗り仕様で、車体後部には脱着が可能なモバイルバッテリーを搭載。
充電は、バッテリーを取り外して、家庭用電源を使える小型充電器でおこなう。
使用する充電器は、街や高速道路のPAなどで現在見かけるタイプに比べ、かなり小型。
なので、コンビニや公共施設などにも省スペースで設置することが可能だ。
「省スペース=設置場所を増やせる」となれば、現在より格段に外出時での利用可能エリアが増えることになる。
「つくる、つかう、つながる」をキーワードとするホンダの新しい『スマートモビリティ』社会への挑戦。
これから、東京モーターショーへ行く方は、ぜひ一度ブースで体感してみてもらいたい。