「昭和気質」が抜けない企業に迫るリスク

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2015年11月06日 18:01  JIJICO

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JIJICO

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労働基準法への対応が遅れ、昭和気質が残る会社が存在


労働基準法で定められた週の法定労働時間の上限が48時間だった時代から、現在の週40時間への移行に遅れ、1日8時間、月曜から土曜までの勤務という昭和気質の会社が実はまだまだ存在します。


昭和気質の会社には社員旅行や運動会などのイベントが多く、仕事が終われば「飲みニケーション」で上司と部下、同僚同士の交流が盛んに行われています。また、家族ぐるみの付き合いを重視するなど、終身雇用を前提とした雇用管理も継続されているようです。


若い世代の特徴を把握できず、パワハラにつながりやすい


厚生労働省の調査によれば、パワハラが発生しやすい職場の特徴として最も多く挙げられているのが、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」です。現代の会社の多くが業務上の必要性から、同じフロアの部下にメールで要件を送るなど、社内で直接話をする機会が減少傾向にあり、コミュニケーションが不足がちです。


その点、コミュニケーションが活発な昭和気質の会社は、パワハラが起こりにくい職場環境を維持していると思われますが、経営者は変わらずとも、従業員の認識は「昭和」のままではありません。特に仕事とプライベートを明確に切り分ける若い世代の特徴を把握できず、「俺の酒が飲めないのか」と強要するなど、コミュニケーションが活発だからこそパワハラにつながりやすいというリスクがあります。


現状を鑑みれば、いずれは昭和気質からの脱却が必要


労働時間に比例して業績が上がっていた昭和時代から、効率が求められる現代では働き方も変わってきました。コミュニケーションが少なければパワハラが発生しやすい反面、注意して言葉を選ばなければパワハラだと訴えられるなど、職場も混乱しているのが現状です。


それでも、時代の流れや労働基準法などを鑑みれば、メリットよりもデメリットが目立ち始め、いずれは昭和気質からの脱却が必要です。アメリカの自動車王であるヘンリー・フォードは「人は変化を嫌う」と言いましたが、経営者の世代交代が急速に進む中、昭和気質から抜け出せないのは経営者だけの問題ではありません。従業員を含め、会社一丸となって取り組む必要があるでしょう。



(篠原 丈司・社会保険労務士)

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