マンハッタン地下が公園に! 食糧危機すら救うかもしれないテクノロジー

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2015年11月07日 10:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

都市部における人口密集問題は深刻だ。人が多いだけならまだしも、建物も密集し、都市部に求められる機能を満たすためだけに、次々と高層ビルが建ち続けている。

公開空地は減り続け、ビルとビルの間の狭い空地だけが人々の憩いの場となっている。

この問題を抜本的に解決できるかも知れない計画が、今アメリカのニューヨークで進められている。それが、マンハッタンの地下で実験が進む、地下公園プロジェクト『lowline』だ。

巨大な地下空間に光が差す

『lowline』はマンハッタンエリアの地下にある、60年以上前に廃駅となった約4,000平方メートルの場所を利用し計画される、地下公園だ。

このプロジェクトの最大の肝は、地下公園ひいては地下空間に、いかにして公園のように植物を根付かせるかという点にある。

これを解決するのが、SunPortalというイギリスと韓国に拠点を持つ企業だ。同社では通常では光の届かない場所へ光を届ける“採光技術”を研究している。

同社の技術を用いて、地上に独自の採光用装置を設置することで、その採光用装置が集めた光を、最大約200m地下に運ぶことができるのだ。

そして、この採光装置で集め運ばれた光を、地下に設置した表面反射する装置につなげることで、天井から光を広げることが可能になるというわけである。

食糧危機すらも救えるかも知れない

この技術を活用すれば、地下でも植物を育成することが可能となる。

もちろん、既に様々な方法で屋外でなくても植物を栽培する方法はできてきているが、これはそれらの方法に比べても、限りなく“自然光に近いもの”を用いて育成することになる。

映画『インターステラー』の様に、地上での食物の栽培が難しくなっていってしまった場合にも、この地下での食物開発技術が進歩してくれれば、外部の環境に左右されず、食物を育てることが可能になるだろう。

写真を見ればおわかりいただけるかと思うが、まるで屋外空間! とはいかないが、照明が入った屋内空間程度には明るさが担保され、そこにはうっそうと植物が根付いているのである。

この『lowline』の計画は、現状プロトタイプを470平方メートル程度の真っ暗な倉庫内で展開している段階だ。

ここでの試験がうまく進めば、最終的には前述の4,000平方メートルの地下空間へ展開できるだろう。

ニューヨーカーの憩いの場は地下、という日もそう遠くないのかも知れない。

【参考・画像】

lowline

※ Daylighting Technology SunPortal

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