40代以上の8割以上が罹患すると言われる歯周病
「雨の日や寒い日は、なんだか調子が悪い・・・」。そんなことを感じたことはありませんか?かつてより、高血圧症や脳梗塞、リウマチ、喘息、うつなどの疾患は、気象の変化によって症状が発現したり悪化したりすることが臨床において確認されています。そして、40代以上の人たちの8割以上が罹患すると言われている歯周病も、どうやら気象変化の影響を受けるようです。
これは、岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 予防歯科学分野の森田学教授と竹内倫子助教授をはじめとする研究グループによって、明らかにされたものです。同グループは、岡山大学病院予防歯科を受診している「安定期にある慢性歯周炎患者」2万人を対象に、気象変化と症状発現の関係性について調査を行いました。
気象庁が発表している気象データ(風速や気温、気圧、湿度)と、慢性歯周炎患者の動向を照合したところ、「気圧低下の毎時変化が大きい日」と、「気温上昇の毎時変化が大きい日」の1〜3日後に急性期症状(痛み・腫れなど)の発現が増えることを突き止めました。
歯周病予防に新たな対策方法を見いだせる可能性
慢性歯周炎の悪化は、歯周病原細菌の感染と細菌宿主の反応によるものとされています。気圧や気温の変化によって症状が悪化するメカニズムはまだ不明ですが、ホルモン分泌や血流などに影響を与えた可能性が考えられ、それによって歯周病原細菌への反応にも変化が起こり、炎症が発生したと考えられます。
歯周病が進行すると、歯を支える土台である歯槽骨が溶け出し、歯を喪失することにもなりかねません。歯の喪失原因の4割が歯周病の悪化によるものと言われており、40代以上における歯周病の罹患率が8割以上となると、決して他人事ではありません。
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この研究が進むことによって、慢性歯周炎が悪化するタイミングを予測することが可能になります。症状の発現までタイムラグもあることから、予測に沿って予防策を打つことができるようになるでしょう。今後の研究にも注目していきたいと思います。(宮坂方子)
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