STOP新卒一括採用!就活解禁日を変更する小細工では、就活の学業への悪影響は減らせない

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2015年11月12日 22:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

またも大学生の就職活動のスケジュールに混乱が生じそうだ。

11月9日、経団連は大学生の採用面接解禁時期を、今年から従来の4月から8月に変更したばかりだというのに、またもや来年から6月に前倒しする方針を発表したからだ。

さぁ、大変だ。

採用面接解禁時期が8月からになったことで、留学や卒論、研修などを含めてスケジュールを組んでしまった学生達は慌てていることだろう。

経済界の勘違いと見込み違い

そもそも大学生が本来勤(いそ)しむべき学業に、より専念できることを目的として、今年からの採用面接解禁時期を8月にずらしたはずだった。

ところが蓋を開けてみると、中小企業の内定辞退者が増加してしまった。

経団連の8月方針に縛られていない中小企業は従来通りの採用面接を行い内定者を決めていったため、8月から大手の採用面接が遅れて始まったことで、学生達が中小企業の内定を辞退するケースが増えてしまったと言うことだ。

まぁ、これは予想できたことだから、慌てている中小企業側の読みが甘すぎたという話しではある。

また、8月からと決めていたとはいえ、これは経団連に所属する一部の大手企業を対象とした、罰則の無い紳士協定であったため、実際には抜け駆けする企業がいたり、そもそも外資系や中小企業などは縛られることなくこれまで通りの採用活動をしてしまった。

その結果、遅れる大手に引っ張られることで、大学生の就活期間がかえって長期化してしまうという本末転倒な事態になった。

これらの理由から、やっぱり2ヶ月前倒ししようということになったのだ。

しかし、8月に変更した矢先に再び6月への変更があるとは予想できるはずもない学生達は、既に留学してしまっていたり、卒論や実地研修などのスケジュールを組んでしまっている。

また、地方から移動せねば成らない学生達も、効率良く移動せねば費用負担が大きくなるため、就活全体のスケジュールを見直さなければ成らなくなるだろう。

このように就活スケジュールの前提がころころ変わるようでは、大学生は3年までに学業の目処を付け、4年からは就活中心に動けるようにしなければならない、というおかしなことになる。

新卒一括採用の習慣こそが問題の根では?

採用面接解禁時期を6月に前倒ししたところで、結局大学生達は残り1年となった貴重な大学生活を、就活中心に過ごさねばならないことに変わりは無い。

しかも、大企業ばかりが紳士協定を結んだところで、殆どの企業側は少しでも早く人材を確保しようと動くため、学生を学業に集中させる環境作りには役に立たない。

要するに、大学を卒業するまでに就職先を決めねば就職できなくなるという風潮と、早く人材を確保したい企業側の思惑が有る限り、大学生は4年目の最後の日まで学業だけに集中することなど無理なのだ。

つまり、企業側の新卒一括採用という日本独特の風習が有る限り、経団連が採用面接解禁時期を4月から8月に、そして6月に変更したところで、大学生が早くから就活せねばならない事情は変わらない。

むしろ、大企業だけが時期をいじる度に、大学生の学業スケジュールは混乱するだけだ。

本当に大学生に、在学中は目一杯学業に集中して欲しいのなら、大学卒業するまでは、就職活動は禁止するといった法律でも作らねば無理だろう。

そういえば、ドイツでは卒業してから就職活動をするのが一般的だという。ドイツ方式を真似ろというわけではないが、終身雇用が崩壊した今、新卒一括採用も止めさせたらどうだろうか。

卒業してからでも仕事を探せることになれば、大学生は学業に専念できるであろう。

【参考・画像】

「面接」前倒し 猫の目解禁、怒る就活生 「負担増す」「予定を見直さないと」 – 産経新聞

※ anzphoto_Inc, / PIXTA

※ ABC / PIXTA

このニュースに関するつぶやき

  • 公務員の年齢制限も廃止すべき。年齢が上がれば就職が厳しくなる社会で優秀な人材が大学院進学を避けるのは当然の流れ。優秀な学者が育たなくなる諸悪の根元。
    • イイネ!2
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