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第一東京弁護士会は11月13日、安保法制と特定秘密保護法について、「刑事弁護」の立場から問題点を考えるシンポジウムを東京都内で開いた。秘密保護法は昨年12月に施行されたが、現在までにその違反をめぐる裁判例がないため、登壇した弁護士と学者は「実際に起こりうるケース」を想定しながら、パネルディスカッションをおこなった。
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青山学院大学の新倉修教授(刑法)は、秘密保護法が、刑法の原則の一つである「罪刑法定主義」に反すると指摘した。罪刑法定主義とは、どういうことをすれば犯罪になるのか、あらかじめ法律で明確に決めておかないといけないという考え方だ。
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しかし、秘密保護法は、防衛などの国家機密の漏えいを防ぐための法律であることから、具体的に何が『秘密』に該当するのか明らかでない。新倉教授は「独立の第三者機関が『秘密』を審査するという仕組みがある。それが今回の法律に入っていない。前時代的で、国民の目と口と耳をふさぐ法律だ」と述べた。
日弁連の秘密保護法対策本部長代行の江藤洋一弁護士は、「秘密保護法違反による刑罰が非常に重い」と語った。たとえば、国家公務員法違反(秘密漏えい)の刑罰は、「懲役1年以下または50年以下の罰金」と定められている。一方で、特定秘密保護法の違反の場合、「10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役および1000万円以下の罰金」とされている。
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江藤弁護士はさらに、「重い刑罰があると、『威嚇効果』が生まれる」と付け加えた。江藤弁護士によると、戦前に市民弾圧に利用された「治安維持法」では、検挙された事件のうち、ほとんどが裁判までいかず、逮捕・勾留・捜索差押などで終わったのだという。
それはどういうことを意味するのか。江藤弁護士は「裁判を維持するかどうかだけでなく、(捜査機関が)ときどき逮捕や拘禁、家宅捜索するだけで、十分に萎縮効果が出てしまうおそろしさがあるということだ」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
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