「垂直の孤立から水平の連結へ」というコンセプトで作られたこの団地、まるでゲーム終盤にさしかかったジェンガのような様相だ。
このプロジェクト『The Interlace』は、今年の世界建築フェスティバルで『ワールド・ビルディング・オブ・ザ・イヤー』を獲得した。
角度と位置を変えて積み上げる
この団地はシンガポールにある。6階建てのアパートメント・ブロックが31棟、六角形のラインを基調として積み上げられている。
この構造のおかげで、各アパートメント・ブロックの上部、あるいはその間に共有のアウトドアスペースが生まれる。
そのスペースで、コミュニティのつながりを深めることができるというコンセプトなのだ。
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この団地は、170,000平方メートルの敷地を持ち、2013年から居住が開始された。手頃な価格でさまざまなサイズの住居が1,040戸設定されているという。
24階建てに相当する3つの“峰”があり、そのほかの部分は6〜18階建ての段状に形成されている。
それらのあいだの開口部から、光や風が中庭に入ってくるつくりだ。
直径約60mの8つの中庭があり、開放的な雰囲気を作り出している。住民はまず中庭に入ってから、それぞれの住居に向かうことになる。
ひとつひとつのコアはコンパクトで、住民の動線は最小限。フロアは最大限にとれる効率的なシステムになっているということで、このプロジェクトはシンガポールの住宅状況のなかで予算的にもリーズナブルだという。
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魅力ある住宅への期待
たしかに、一見奇抜だが、ひとつひとつは従来からあるタイプの集合住宅のように見える。
そのレイアウトによって、まったく新たな価値を生み出したといえるのではないだろうか。
日本の都市の住宅事情が、今後どうなるのかはわからないが、世界的にはまだまだ集合住宅のニーズはつづくだろう。
こういったさまざまな魅力を持つ団地が増えていってほしい。
【参考・画像】
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※ The Interlace by OMA/Ole Scheeren