11月19日は『備蓄の日』である。
2011年の東日本大震災以降、備蓄の重要さが常に叫ばれてきた。だが備蓄とはいっても、揃えるのは水と食料だけではない。缶詰があっても缶切りがなければどうしようもなく、雨や寒さにもどうにか対処しなければならない。
従って、本格的に備蓄をしようと思ったらそのカテゴリーは多岐に渡る。
今回は「非常用の備蓄、とりあえずこれだけは用意しておきたい」というテーマで、便利な防災グッズをいくつかご紹介しよう。
丈夫なナイフを持つということ
かつて日本の子どもたちは、“肥後守”という折りたたみ式ナイフを誰しもが持っていた。
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この肥後守は、今も生産されていて海外からの需要もあるが、現代日本ではあまり見向きされなくなった。これはPTAが「刃物を学校に持ち込ませない」という運動を展開したからだと言われているが、結局はカッターナイフというものが登場したことが最大の原因だろう。
確かに紙を切るだけなら、肥後守よりカッターナイフのほうが断然使い勝手がいい。だが非常時の万能ツールとして使用するなら、カッターナイフのブレードはあまりに脆弱だ。ここは一本だけでも丈夫なナイフを所有しておきたい。
筆者のオススメは、米企業レザーマンの折りたたみナイフだ。バタフライ式で、内部にペンチが収納されているのが特徴である。
レザーマンは最近も、興味深い新製品を発表した。“シグナル”という製品名で、日本でもすでに販売が始まっている。
従来のレザーマン製品の形状を踏襲しつつ、新たにファイアスターター、救難ホイッスル、シャープナーを装備した点が“シグナル”の特徴だ。
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※ Leatherman Signal: Overview – YouTube
日本での小売り希望価格は2万3,000円。25年保証付きである。
混沌の災害時にこれを一本持っていれば、あらゆる場面で大活躍してくれることだろう。
火は心の栄養
そういえば、FUTURUSで以前コールマンのマルチツールについて書かれた記事が配信された。ターボ式ライターに十徳ナイフの機能を装備した、男心くすぐるデザインの製品だ。
近年では世界中で禁煙が叫ばれているが、もしこの世からタバコがなくなってもライターは絶対になくならないはずだ。一切のライフラインが停止している中で、火と水はなくてはならないものだからだ。
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東日本大震災の発生日は、3月11日である。3月の東北はまだまだ寒い。火を起こして暖を取る必要がある。
食糧の調理にも、当然ながら火は欠かせない。
人間、過酷な状況下では常に“温かいもの”を求めるようになる。同じ米飯でも冷めたものより温かいもののほうが、食が進むし勇気もみなぎる。
そういった“心の栄養”を火はもたらしてくれるのだ。
トイレ問題を解決する
動物は、物を食べたらそれを出さなければならない。
そんな汚い話をするな、などと言わないでいただきたい。被災地において食事と等しく重大な問題となるのが、トイレである。上下水道が麻痺している場合、トイレでは用を済ますことができない。
ではその辺に穴を掘って用を足せばいいじゃないか、というのは短絡的な発想だ。排泄物は様々な病気の根源となる。
たとえば軍隊が野営の際に真っ先に行うのが、清潔な環境の構築である。劣悪な衛生状態の中で将兵が次々に倒れていくということは、我が国の旧軍が散々経験している。
災害時においても、それは変わらない。そこで重宝されるのが携帯トイレである。
クリロン化成株式会社が販売する『BOS非常用トイレセット』は、排泄物の臭いも閉じ込めてしまおうという画期的な製品だ。排泄物の処理はすぐにはできず、救助隊が来るまで使用済み携帯トイレは長く放置されることになる。
そこから発生する悪臭は、被災者の健康にも悪影響を及ぼしてしまう。
逆に、その問題一つが解消されれば避難所での生活状況は大きく改善する。
※ 防災グッズ・非常用トイレを買うなら「BOS非常用トイレ」 – YouTube
現に阪神大震災や東日本大震災の時も、被災者を常に悩ませたのは排泄物処理の問題だった。
今もこの難題は横たわり続けているが、それを少しでも軽減してくれる商品がここにあるのだ。
【参考・画像】
※ レザーマン – レザーマンツールジャパン株式会社
※ MULIT-TOOL LIGHTER – Coleman
※ BOS – クリロン化成株式会社
※ Daxiao Productions / Shutterstock