AI(人工知能)の『東ロボくん』が、大学入試センター試験模試で偏差値57.8を獲得!
すでに様々なメディアで報道されているので、ご存じの方も多いだろう。すごい時代になったものだ。なにせ、“人間の”全国平均を上回ってしまったのだから……。
この『東ロボくん』は、国立情報学研究所などが、2011年から行っている研究プロジェクトだ。
目的は、ズバリ「東京大学入試試験に合格するAIをつくる」こと。
そのために、まずは第一関門の大学入試センター試験で2016年までに高得点をマークし、2012年には東大の試験に合格することを目標にしている。
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『東ロボくん』は、このプロジェクト『ロボットは東大に入れるか。』の略称だ。
人間の「思考」はAIにもできるか?
では、なぜ“東大入試”なのか?
国立情報学研究所のホームページによると、これは、要は人間の“思考プロセス”と同じような事が、AIにできるかどうかの研究だ。
単なる暗算では、既に人間を超える今のAIだが、問題を読み(思考して)答えを導き出すことは無理。
既に人間に勝る将棋やクイズほど、ルールが明確でないためだ。
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そこで、言語理解など、より人間らしい情報処理ができるAIを作るという、今までのAI研究で手つかずだった課題をクリアするのが目的なのだという。
ちなみに、AIにとっては、より常識に依存する小学校の問題の方が難しいらしく、より(AIにとって)簡単な東大入試を選んだんだそうだ。
ってことは、最強なのは「小学生の問題がすらすら解ける」AIってことに? なんかちょっと複雑な心境である。
苦手だった数学も偏差値64超に
そんな『東ロボくん』が、今回受けたのは6月に行われたベネッセコーポレーションの『進研模試』。
5教科8科目の大学センター入試模試だ。
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で、結果は合計511点で、“人間の”学生平均416.4点を上回る。
特に、苦手だった数学の成績が上がり、偏差値64以上を獲得。まだ東大合格には届かないものの、全国にある大学の約6割にあたる474大学・1,094学部の合格可能性が、約80%に向上したという。
また、他にも2次試験対策として、論述式の駿台予備学校『東大入試実践模試』の一部科目も受験。初挑戦の地理歴史(世界史)で、偏差値54.1をマークした。
ちなみに、『東ロボくん』は、科目ごとに開発された複数のAIの総称だ。また、2足歩行ロボットなどが、実際に東大の赤門をくぐり受験することは想定外。あくまで“人工知脳”のみの研究なので悪しからず。
このニュースを聞いて、2016年1月16日-17日に行われる、大学入試センター試験を受ける予定の受験生の中には、ちょっと焦った人もいたかもしれない。それほどの好結果だ。
かくなる筆者は、『東ロボくん』に絶対負けない。なぜなら、「共通一次」世代で「私立文系」だったから(センター試験どころか共通一次も未受験)。
では、今なら……ご想像にお任せします。
【参考・画像】
※ Dragon Images / Shutterstock