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「画期的な発見!」は、おおかみ少年

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2015年11月20日 21:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

滅多に耳にしない「画期的な発見」のその後

 「○○大学が○○病の原因を解明!」 と新聞に出ることは比較的よく目にします。でも「新たな治療法・薬ができた!」 というニュースは滅多にありませんね。なぜでしょうか?

 理由の1つは報道の勇み足です。あくまで可能性がみえただけの段階で、研究者本人も「△△を再確認する必要がある」などと注釈していても、マスコミは嘘にならない範囲でセンセーショナルに報道しがちです。

 もう1つの理由は、「新発見の成分」が「新製品」になる頃には、ニュースとしての価値が落ちているということがあります。例えば薬の候補が実際に医薬品として世に出るまでには「10〜18年」 が必要といわれます。海外で当局から医薬品として承認がおりて臨床的に使われていても、日本人に使った場合には副作用が大きく出現することがあるため、「日本は日本で」と別の審査プロセスが追加で必要です。そのため「アメリカで使われている薬が、日本の患者は使うことができない」というドラッグラグの問題が生じるわけです。

 そして最後の理由は、そもそも「医薬品の新製品」は絶対数が極めて少ないという点です。なぜなら、「薬として効き目がありそう」な化合物を繰り返し試験するうちに、「ヒトの身体に元々備わっている別の機能」によって作用が打ち消されて、結局は効果があまり働かないことが多いのです。薬は異物なので、私達の身体は排除しようとしたり、その影響を受けないようにしたりするのです。また、効けば良いかというと、逆に副作用が明らかになって有害度が大きいとなれば、これも候補からは脱落します。副作用のメカニズムを突き止めて、それを軽減する合成・精製方法や投与方法が見つかれば良いのですが、なかなかそうもいきません。

製品になる確率はわずか30,000分の1

 こうしたプロセスを最後まで耐え抜いて製品になる確率は「約30,000分の1」※という狭き門です。ところが、これで終わりではありません。発売後にも「市販後調査(PMS)」と呼ばれる追跡調査を行い、厚生労働省は再度の審査をします。 ※数値は日本製薬工業協会のDATA BOOK 2015より

 なぜなら治験(承認前の臨床試験)では100〜1,000人程度(希少疾患用ではもっと少ない場合も)に投与したデータしかありませんから、例えば確率100分の1で出る重い副作用がたまたま出現していなかったり、特定の病気を持っている人にだけ100%発生する副作用が隠れている可能性があるからです。特に発売直後の6か月間調査では全ての患者の追跡データが必要とされるケースも珍しくなく、製薬会社にとっては作業負担が重い義務です。

 それだけの審査を繰り返してもなお「薬害」が発生することがあるわけですから、「新薬開発」はビジネス的には極端なハイリスク・ハイリターンの性格を持っていると言えますね。(QLife編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • 新聞や報道の見出しが単なる「煽り文句」になっているのは、年々酷くなってる気がする。とは言え、「普通の発見」とか「ほんの少し先進的」って言われても新聞の購読意欲がなくなるし。記事を書く人のセンスだな
    • イイネ!4
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