パリ同時多発テロに見る、ソーシャルメディアの意義と課題

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2015年11月21日 22:10  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

2015年11月13日夜(現地時間)、パリ市内7カ所にわたって発生したパリ同時多発テロ事件で、これまでに129人もの尊い命が失われ、350人以上が負傷。フランス全土に非常事態宣言が発令されるなど、いまだ、緊迫した情勢が続いている。

ソーシャルメディアでは、事件発生直後から、現場近くの目撃情報や、家族や友人の安否を気遣う呼びかけなど、膨大な情報が世界中を駆け巡り、日本にも、その動向が、ほぼリアルタイムで伝えられてきた。

安否確認ツールとしてのソーシャルメディア

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今回のパリ同時多発テロ事件では、ソーシャルメディアが、緊急時の安否確認ツールとして大きな役割を果たしていることを、改めて浮き彫りにした。

その代表的な例が、フェイスブックの安否確認サービスだ。

東日本大震災を契機に開発されたこのサービスは、これまで、2015年4月のネパール大地震など、自然災害の発生時にのみ、提供されていた。

しかし、パリ同時多発テロ事件で初めて、自然災害以外にも適用。

事件発生当時、パリ周辺にいると判断されたユーザーに、フェイスブックから安否確認のための通知が届けられ、『無事』『無事でない』『影響を受けた地域にいない』のいずれかを選択することで、その内容がフェイスブック上の友人に向けて発信された。

フェイスブックのCEO(最高経営責任者)マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、11月15日、従来の方針を変更し、安否確認サービスを、自然災害のみならず、テロ事件などの人為災害にも、全面的に適用する意向を明らかにしている。

情報チャネルとしてのソーシャルメディア

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インターネットにさえ接続できれば、誰もが参加でき、情報を同時かつ多方向に共有し合えるソーシャルメディアは、緊急時の情報チャネルとしても、その地位を確立しつつある。

ツイッターでは、情報チャネルとしての機能をさらに拡充すべく、2015年10月、ツイッター上で話題の情報をまとめてチェックできる『Moments(モーメンツ)』を米国で導入した。

有力紙『ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)』や『ワシントン・ポスト(The Washington Post)』、ニュース専門放送局『FOXニュース』ら、大手メディアも、この新機能と提携。

情報の即時性や拡散性に優位なソーシャルメディアが、新聞・テレビといった既存メディアを補完する役割を担いはじめている。

しかしながら、信頼性や正確性が担保された情報を整理し、わかりやすく伝えるマスメディアに比べて、誰もが情報の発信者となりうるソーシャルメディアは、誤った情報やデマが拡散しやすい。

それゆえ、情報を正しく見極め、冷静に取り扱うことが、より強く求められている。

世界の「平場」としてのソーシャルメディア

パリ同時多発テロ事件では、凄惨な事実が明らかになるにつれて、『#PrayForParis』、『#JeSuisParis』といったハッシュタグとともに、犠牲者を悼むメッセージやフランスとの連帯を呼びかける投稿が、世界各地から数多く寄せられてきた。

その一方で、過激派組織イスラム国(IS)と事件との関係が取りざたされる中、イスラム教徒に対する排斥や差別を懸念する声も、少なからず発信されている。

つまり、ソーシャルメディアは、緊急時の通信手段であり、情報チャネルであるのみならず、文化や習慣、思想、信条などの違いを超えて、多種多様な声が世界中から集まる“平場”でもあるのだ。

ソーシャルメディアでは、誰もが等しく、情報の発信者であり受信者。

それゆえ、異なる価値観にも謙虚に耳を傾け、理解し合おうという姿勢や、多様性を受け入れる寛容さが、今、私たち一人ひとりに、問われている。

【参考・画像】

Facebook Safety

※ Moments, the best of Twitter in an instant – Twitter

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