「君たちの好む音楽は、僕にとってはあまり楽しいものではない。」もし私たちの身近に暮らす猫が言葉を話せたら、こんな風に言うかもしれない。
これはなにも、猫たちが気取っていたり、嫌味な性格だったりするわけではなく、音に対する感覚の違いからくるものと考えられる。
人間の脳が、聴覚機能に使うのが3%であるのに対し、猫は25%と実に1/4を使っているとも言われるが、両者にとって心地よい音楽の種類が異なっても不自然ではないだろう。
そんななか『Kickstarter』では、“猫のための”音楽プロジェクトが公開され、猫好きたちの注目を集めているようだ。
猫の暮らしを豊かにする音楽アルバム作り
音楽家のDavid Teie氏が進めるプロジェクトは、その名も『Music for Cats』。猫の暮らしを豊かにする音楽アルバムの制作を目指すもので、期限を10日ほど残している現在までで、既に目標額の8倍となる160,000ドルの資金調達に成功している。
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プロジェクトが目標金額を達成したことで、現在はプロダクションの準備が進行中。
音楽家やエンジニア、そしてレコーディング・スタジオには、音楽業界の最前線で活躍する人物・設備が充てられるといい、最高の作品が期待できそうだ。
Teie氏はアメリカの名門オーケストラで、20年以上にわたりチェロ奏者を務めてきた人物。プレイヤーの活動と並行して普遍的な音楽理論の研究にも情熱を注ぎ、執筆活動も行っている。
近年、彼の研究対象は人間から枠を広げ、動物のための音楽制作が人生の“使命”になっているという。
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リスナーとなる猫が夢中になる理由
以前には、ウィスコンシン大学の心理学教授と協働し『猿のための音楽』の制作に成功したことがあるTeie氏。
動物向け音楽をビジネスとしてスタートするにあたり、ペットとして人間のそばで生活し、音楽をシェアすることが、比較的容易な猫を最初の対象に決定したということだ。
Teie氏は2008年に「猫音楽のビルボードチャートで大ヒットを記録するかもしれない」2曲を作曲。これらの曲を聞いた猫たちの77%からはポジティブな反応が見られ、この結果をまとめた研究は学術専門誌にも掲載されている。今回のアルバム制作はこの延長線上にあるものだ。
同氏によると、猫は人間と違い、生まれてから耳にする音を通じて、音楽に対する感覚を養っていくのだという。
そのため、猫向けの音楽には、鳥のチュンチュン鳴く声やミルクをチューチュー吸う音、親猫のノドのゴロゴロ……といった音も取り込むことで、よりリスナーの猫に好まれる仕上がりに。
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猫たちが、コミュニケーションによく使う周波数帯に合わせるなどの工夫もされているようだ。
ダウンロード版が1曲5ドル、アルバムが15ドルから、CDだと25ドルから入手可能。興味がある方はぜひ早目にチェックしてみては。
もしかすると、愛猫たちにとって最高のクリスマスプレゼントになるかも。
【参考・画像】
※ https://www.kickstarter.com/projects/355308040/music-for-cats-0
※ Vinogradov Illya / dezi – Shutterstock
【動画】
※ Music for Cats – YouTube