話題の「Apple SIM」日本上陸するも米国と異なる残念な仕様に。国内邦人ではほぼメリットなし

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2015年11月23日 18:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

11月17日に日本に上陸した『Apple SIM』。昨年10月のiPad Air2発表のタイミングで同時に登場して話題をさらったこの『Apple SIM』だが、今回日本で発表されたものは当初予想していたものとは大分違うものだった。

端的に言えば、日本に住んでいる人にとってはあまり嬉しいポイントは少なく、海外から日本に来る一部の旅行者にとっては嬉しいというものになったのである。

今回はそもそも『Apple SIM』とは何だったか。といったところから日本版の違いなどについて解説したい。

そもそもApple SIMとは

『Apple SIM』は、iPadのWi-Fi+Cellular版で使えるアップルが発行するSIMカードだ。

ただ、ご存知の通り、本来SIMカードは接続する携帯電話網を展開する携帯電話会社と契約し、そのときにもらえる(貸与される)ものである。

それに対して『Apple SIM』は、Apple Store(Onlineを含む)からiPadのWi-Fi+Cellular版を購入すると、最初から入っているのだ。

そして設定画面から、どの携帯キャリアのネットワークを使うかと選択するようになり、そこから契約まで全てを行うことができるものだ。例えば、契約の必要が無ければ契約しなくてもいいし、途中から必要なるようならば途中からでも構わない。

提携している(『Apple SIM』上で選べる)キャリア間で乗り換えることも可能で、処理はiPad上で完了するため、契約にショップまで出向く必要もない。

また、海外で利用する場合にも、現地のSIMを空港で買ったりWiFiルーターを借りたりしなくても、直接『Apple SIM』がその国で提携しているキャリアの電波を拾ってくれ、同じく設定画面からそのキャリアと契約をすることが可能となる。

唯一の難点は、キャリアの協力が不可欠な点だ。

アメリカの場合でも4大キャリアのうち、シェア1位のVerizonはこの『Apple SIM』には対応してくれていない。また、Apple Storeで買ったiPadのみが対象であり、キャリアで買ったiPadは条件が異なり、iPhoneに至っては対象外だ。

日本版はそもそもコンセプトが違う

これが2014年に発表された際には、日本もApple StoreでWi-Fi+Cellular版のiPadを買えば、docomo、SoftBank、auから契約を選べるようになり、面倒なことなく契約/解約したりが可能となり、短期的に携帯電話網を使いたい場合などに、活躍するのだろうと予想されていた。

しかし、残念なことに日本版はほぼキャリアの協力が得られなかったのだろう。

前述の『Apple SIM』の本来のメリット部分は、どのキャリアも対応してくれていない。つまり日本に住んでいる人が日本で使う分には『Apple SIM』のメリットは全く享受できないのだ。

唯一メリットがあるとすれば、日本から海外に旅行などで行った際に、『Apple SIM』をさしていれば、現地のSIMを用意したりしなくとも、iPadの設定から現地ネットワークにデータローミングせず接続できるということだろう。

また、海外在住の人が『Apple SIM』を差したiPadをもって日本に来た際には、auが1GBあたり1,500円でネットワークを使えるようにしてくれているため、メリットがあると言えるだろう。

ちなみに、日本で販売されているiPadで『Apple SIM』が使えるのはiPad ProとAir2、mini3、mini4の4機種のみ。しかも、フル機能を使えるのはApple Storeで購入した製品のみだ。

話題を呼び、期待された『Apple SIM』であったが、日本では結局キャリアによってそのメリットを失ってしまった。どうしても携帯電話契約に関して保守的な日本。

MVNOの台頭などによって、この先どこかで変わることを期待したい。

【参考・画像】

Apple

※ au

※ Ishadow / PIXTA

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