超音速旅客機の爆音「ソニックブーム」の低減で日本がリード

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2015年11月25日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

超音速旅客機の課題に、『ソニックブーム』がある。

『ソニックブーム』とは、航空機が超音速で飛行する際に生じる衝撃波で、これが地上では衝撃音として伝わる現象だ。この『ソニックブーム』が発生するため、超音速旅客機は海上でしか超音速を出せないという制限がある。

そのため現在世界では、『ソニックブーム』をいかに低減させるかが超音速旅客機における最重要課題となっているのだ。

その課題を解決する技術で、日本が世界をリードした。

世界初の「全機低ソニックブーム設計技術」

世界をリードする実験を行ったのは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)だった。JAXAは7月24日に、スウェーデン:エスレンジ実験場で『ソニックブーム』を低減する実験を行った。


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その結果、世界で初めて『全機低ソニックブーム設計技術』の飛行実証をしたのだ。『全機低ソニックブーム設計技術』とは、機体の先端と後端の『ソニックブーム』を同時に低減することを示す。

ここで実証できた成果は、例えばあの有名な超音速旅客機『コンコルド』に適用することができれば、『ソニックブーム』を2分の1に低減できるという。

また、50人規模の小型超音速旅客機であれば、『コンコルド』のさらに4分の1に『ソニックブーム』を低減できるという。

今回JAXAがたたき出した成果は、『ソニックブーム』低減技術の実現性を実証できたとともに、国際基準の策定にも貢献するデータの獲得となる。

さらに、今回の実験では、もう一つ世界初を行っていた。

大気乱流という地表から数キロメートル程度の範囲で発生する気流の乱れが、『ソニックブーム』に与える影響についても詳細なデータ解析を行ったのだ。

日本の研究が世界をリードする

実験では、重量1トン・全長7.7メートルの試験機を大型気球で高度3.5キロメートルの地点まで引き上げて落下させた。

その後、計測可能範囲をマッハ1.39で飛行させ、各種計測を行った。その結果、『ソニックブーム』が低減されたことが確認できたという。

JAXAは今後、今回の実験結果をICAO(国際民間航空機関)に報告し、国際基準の策定が加速されることに貢献することになる。

今のところ、超音速旅客機の『ソニックブーム』低減技術では、日本が世界をリードしている。

日本の研究が、世界の航空業界を牽引するかもしれない。

【参考・画像】

※ 超音速機から発生するソニックブームの低減技術を実証 〜将来の超音速旅客機の実現を目指して〜 – JAXA

※ Tulse_Luper / Shutterstock

【動画】

※ D-SEND#2 落下試験 – YouTube

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