妊娠した非正規社員の過半数「産休を取得できず」 マタハラ被害のアンケート調査結果

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2015年11月25日 14:41  弁護士ドットコム

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非正規社員の「出産と仕事」をめぐる厳しい現実が明らかになった。NPO法人「マタハラNet」が、非正規で働いたことのある女性を対象に、マタニティ・ハラスメントの実態を調査するアンケートをおこなったところ、「出産後も働き続けたい」という希望がかなった女性は4分の1しかいないことがわかった。


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マタハラNetが11月25日、東京・霞ヶ関の厚生労働省記者クラブで会見を開いて、明らかにした。調査は9月2日〜18日、マタハラNetのブログ上で実施。現在20〜50歳の女性で、妊娠した時点で非正規(契約社員・派遣・パート等の有期契約労働者)だった人を対象におこない、165人から回答が寄せられた(有効回答数158人)。



調査によると、81%の女性が「出産後も働き続けたい」と希望していたのにもかかわらず、産休と育休を取得して職場復帰できたのは、そのうち24.2%にすぎなかった。



●「非正規には産休すら取らせたくないという意思がある」


また、産休は、雇用形態にかかわらず全ての女性労働者が取得できると労働基準法で決められている。ところが調査では、「産休を取得できなかった」との回答が、56.9%にのぼった。



この日の会見で、マタハラNet代表理事の小酒部さやかさんは「労働者の法制度の認識は上がっており、(非正規でも)産休・育休を取る権利があると気づき始めている。労働者と企業双方の情報不足ではなく、明らかに企業側の対応が不十分。『非正規には産休すら取らせたくない』という意思がある」と述べた。



一方、非正規で働く人が育休を取るためには、「子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用が見込まれる」などの厳しい要件が法律で課されており、それをクリアーしなければならない。そのため、現実には、非正規社員が育休を取るのが、難しくなっている。



「(産休や育休をとれない)非正規の方が退職に追い込まれれば、子どもを保育園に預けられず、仕事復帰ができない。負のスパイラルが発生し、貧困化していく」。小酒部さんは、そのような懸念を指摘し、非正規労働者でも育休が認められやすくなるような要件の緩和を求めた。



会見終了後、小酒部さんらマタハラNetのメンバーが、育児・介護休業法の要件緩和を求める署名(1万2040名)を、厚労省に提出した。


(弁護士ドットコムニュース)


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