「手洗い」「うがい」「マスク」などの感染防止を
首都大学東京 客員教授の矢野一好先生毎年12月から翌年2月ごろにかけて流行する、ノロウイルスやインフルエンザなどのウイルス感染症。流行を前に「教えて!『かくれ脱水』委員会」は11月19日、メディアセミナーを開催。首都大学東京 客員教授の矢野一好先生が今シーズンの特徴や感染経路を解説しました。
気になるこの冬のノロウイルス感染症について矢野先生は「今まで流行したことがない遺伝子型が流行しそうで、大流行になる可能性があります」と警鐘を鳴らします。ノロウイルスの感染経路は「非常に多岐にわたる」としたうえで、「調理従事者を介した事例が最も多い」と指摘し、その代表的な事例として、2014年1月に静岡県浜松市で起きた学校給食での集団食中毒を挙げました。
一方、インフルエンザについては、昨年まで、始めにA型が流行、年末年始で“小休止”し、年明けにB型が増えて収束するという流れがありましたが、「今年はどれが流行するか、わからない状況」とのこと。
矢野先生は「症状や感染経路は従来と同じなので、感染防止対策もこれまでと同じようにしてください」と心構えを伝え、感染防止対策として、「手洗い」「うがい」「マスク」「吐物処理」を挙げており、吐物処理では処理キットを常備することを勧めました。
経口補水液、子どもや高齢者に「工夫して飲ませて」
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛先生では、実際にウイルス感染症にかかったとき、どのように対処したらよいのでしょうか?済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛先生が解説しました。
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「多くのウイルス感染症は、感染しても自分の免疫で体から排除される」と十河先生。身体からウイルスを排除するために、発熱、咳、鼻汁、嘔吐、下痢などが起こるが、自分の免疫で体からウイルスを排除するまでの期間をどのように過ごすかが重要であり、「その中でも脱水の予防はとても重要」と話します。
胃や小腸、大腸がノロウイルスやロタウイルスに感染した「消化管感染症」については、脱水の原因として、「下痢」「嘔吐」「食事摂取量低下」「発汗」が挙げられます。その際の対処法として、十河先生は、「経口補水液による経口補水療法」と「食事がとれれば、通常の食事摂取」が有用であるとし、特に経口補水液は点滴と同じくらい効果的で、乳幼児や高齢者には「吐いても飲ませて」と十河先生。飲みにくいと感じる人がいるため、どのように飲ませるか工夫する必要があり、ゼリータイプや、家庭の製氷皿を使用して作成した氷を飲ませることを提案しました。
一方で、鼻腔や咽頭、喉頭、気管支、肺などがインフルエンザやRSウイルスに感染した「気道感染症」では、「食事摂取量低下」や「発汗」が脱水の主な原因になるとしています。十河先生は「まずは食べられるものを食べる、飲めるものを飲む」とアドバイスしました。
ウイルス感染症はこれからの時期に流行します。予防策だけでなく、感染してからの対応策も把握しておきましょう。(QLife編集部)
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