あなたのスマホはどこから?購買判断・経営判断に活きるMIT開発の「サプライチェーン版Wikipedia」Sourcemapとは

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2015年11月30日 22:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

あなたが今、利用しているスマートフォンは、いったいどこからやってきたのだろうか。

パソコン、スマートフォンといったデジタル機器から、ツナ缶やチョコレートなどの食品まで、ありとあらゆる商品が、複数の国・地域をまたいで生産され、いくつもの港を経由して世界各地に渡り、私たち消費者へと届けられている。

一般に、原料の段階から消費者に届くまでのサプライチェーンは極めて複雑で、一般消費者はもちろん、生産や販売にたずさわっている企業側ですら、すべてのプロセスを把握することは容易でない。

サプライチェーン版Wikipediaの先駆け的存在


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このような課題に対する解決策として、米マサチューセッツ工科大学メディアラボ(MIT Media Lab)の研究プロジェクトは、2007年、世界初のクラウドソーシング型サプライチェーン情報プラットフォーム『Sourcemap(ソースマップ)』を開発。

商品ごとのサプライチェーンがオンラインマップでビジュアル化される仕組みで、誰でも無料で閲覧でき、サプライチェーンに関するデータを追加したり、編集することも可能な、いわば“サプライチェーン版Wikipedia”として、広く活用されてきた。

CSRツールから経営判断サポートツールへ

『Sourcemap』では、開発当初、もっぱら、CSRの観点から、企業における説明責任の向上や、商品の透明性を高めるツールとしての活用を想定していた。

しかしながら、本来、サプライチェーンは、企業が負うべき社会的責任はもちろん、原材料調達の効率性や災害のリスク、環境負荷など、様々な要因を考慮し、最適化されるべきもの。

そのためには、原材料の供給者である“川上”から消費者の“川下”まで、一連の流れを可視化することが不可欠だ。

そこで、『Sourcemap』は、2011年9月、営利企業として独立し、サプライチェーンを自動的にマップ表示できる、エンタープライズ向けソリューションを開発した。

調達先の選定や在庫管理、輸送ルートの改善、緊急時に備えた事業継続計画の立案など、重要な経営判断に活用できるのが利点で、チョコレートメーカーのマース(Mars)やオフィス関連製品を取り扱う大手小売店オフィス・デポ(Office Depot)など、米国内外の大手企業でも、このソリューションの導入がすすんでいる。

サプライチェーンの可視化が、私たちにもたらすもの

サプライチェーンを可視化する試みとしては、食のトレーサビリティに特化したオンラインプラットフォーム『Real Time Farms(リアルタイム・ファームズ)』など、他の事例もいくつかあるが、『Sourcemap』は、この分野の先駆け的存在。

このようなツールを有効に活用し、「この商品がどこでつくられ、どのようなルートで届けられているのか」を知ることこそ、消費者の購買判断や企業の経営判断を、より賢明なものとするための第一歩といえるだろう。

【参考・画像】

※ Sourcemap

※ Real Time Farms

【動画】 ※ Supply Chain Mapping for Everyone – Vimeo

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