最近の動画撮影におけるドローンの活躍はめざましい。ドローンによる空撮はもはやそれほど珍しいものではないが、それでも魅力的だ。なぜなら、ふだん我々が得られない視点からの映像を提供してくれるからだ。
そんなドローンを、災害の救援に使おうというプロジェクトが、クラウドファンディングサイト『READYFOR』で資金を募集している。その名は『災害ドローン救援隊 DRONE BIRD(ドローンバード)』。
災害対応に被災状況マップは必須
この『ドローンバード』がやろうとしている活動のメインは、災害発生時に、被災地ですみやかに被災状況の撮影を行い。それをもとに被災状況マップを作ることだ。
たとえば、火山の噴火が起きたとしたら、溶岩はどこまで広がっているのか? 大地震が起きたとしたら、どの道が安全に通れるのか、どの道は危険なのか? 洪水や大規模火災が起きたとしたら、どちらに逃げればいいのか?
災害対応においては、こういった“状況をきちんと把握できる正確な地図”が必須だといっていい。
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しかし、有人のヘリコプターや衛星画像を使って地図を作るのでは半日から2日はかかってしまうという。
現地の画像データがもっと早く入手できれば、もっと早く現地の正確な地図が作成できる。
各地にドローンバード基地を設置
そこで、ドローンを活用することが考え出された。自動操縦で、津波で浸水した町の上や、放射能で汚染された場所にも行くことができる。
訓練された操縦士と準備があれば、現地を最短2時間以内に空撮して情報を公開することも、技術的には可能だという。
そしてこの『DRONE BIRD』計画だ。まずは、ドローンを操縦できる『ドローン パイロット』が、小型軽量のドローンを現場に送って空撮を行う。
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その一方で撮影中に壊れたパーツや、新たに設計したドローンを作るために3Dプリンターやレーザー加工機などを備えた『ドローンバード開発部隊』も用意する。
そして『クライシスマッピング部隊』が現場に急行したドローンが送ってきた画像をもとに最新の状況を地図に反映させる。
この地図は関係各所を含め、世界中にネット配信されるほか、紙地図として自由に印刷し、だれにでも配ることができる。
いざというときに、これらのドローンバード パイロット、ドローンバード開発部隊、クライシスマッピング部隊が機能できるドローンバード基地を、日本やアジア太平洋地域につくるというのが、この計画だ。
より具体的には、日本中どこで災害が起きても対応可能な状況を作るために、2020年までにドローンバード隊員を100名育成し、全国10箇所に基地を設置すること、さらに地図を作成するマッパーを常時1,000人動ける体制にし、いつどこで自然災害が起きても、発生から1時間以内に現地状況の地図への反映を始める仕組みを作ることを目指している。
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他の団体と連携して、通信可能な移動車両によって、このドローンバード部隊を全国に覇権することも計画されている。
最初の一歩は相模原に
最初の第一歩としては、青山学院大学のある相模原に、ドローンバード総司令本部を2016年8月までに設立して、伊豆大島に2016年11月までにドローンバード基地を設置するという。
そして、出資の内容だが、この計画への参加といった性質に近い内容も多いメニューになっている。
もっとも手頃な3,000円の出資ではステッカーが得られるだけだが、それ以上は、『パイロットになろう!』、『マッピング部隊になろう!』、『特別隊員になろう!』というものがあり、それぞれ各種講習を受けることができる。そして一定の技能を習得したひとには、出動要請が依頼される。
また200万円以上の出資をすれば、自分の町を空撮してもらったり、さらにマッピングしてもらったりするメニューもある。伊豆大島に関連したものとして、特産品をもらえるというものもある。
課題はあるが活用されるべきアイディア
この計画に関しては、実際のところ疑問も多い。ドローンの航続距離で、この規模の民間団体が本当に全国各地の災害状況を空撮することができるのか。
隊員の人件費を考えると、その多くは常勤にはならないはずだが、稀にしか起きない自然災害時に、本当に必要とされる作業を迅速に行うことができるのか。
そして、普段の生活が特に変わるわけではない、この手の事業に出資が集まるのかどうか。
とはいえ、災害時に状況を反映した地図が真っ先に必要であること、その作成にドローンが有効であることは疑いの余地はないだろう。
このプロジェクトそのものが成功するかどうかは別として、アイディアは活用されていくはずだ。
【参考・画像】
※ ドローンで災害地を救え!世界初の救援隊「DRONE BIRD」始動 – READY FOR?
【動画】
※ ドローンで災害地を救え!世界初の救援隊DRONE BIRD始動 – YouTube