夫は許しても、浮気相手は許せない・・・「ダブル不倫」慰謝料請求で気をつけるべきこと

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2015年12月02日 09:41  弁護士ドットコム

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(弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに弁護士ドットコムライフ編集部が作成しました)


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パートナーが不倫をしていたら、その不倫相手に対しても慰謝料を請求したいと考える人は少なくないでしょう。でも、もしその不倫相手も既婚者だったとしたら・・・。こちらも慰謝料を支払わなければならないのでしょうか。夫の「ダブル不倫」が発覚した場合、妻はどう対処すればいいのか。澤藤亮介弁護士に聞きました。



Q. ダブル不倫でも、妻は慰謝料を払ってもらえる?


夫がダブル不倫をしていました。


夫には、「2度と相手に合わない」と誓約書を書かせて、二人の関係を修復しようと考えています。でも、相手の女性にはきっちり慰謝料を支払ってもらおうと考えています。


ところが、不倫相手の女性も結婚しており、不倫が夫にバレてしまったようです。


不倫相手の夫から、うちの夫に電話が掛かってきて直接話したいと言われています。向こうは向こうで慰謝料を請求したいと考えているようです。


ダブル不倫の場合、相手に慰謝料を支払ってもらうことはできるのでしょうか。


A. 最初のポイントは、不倫相手の配偶者に不倫の事実がバレているかどうか


ダブル不倫の最大の特徴は、通常の不倫と異なり、不倫をされた被害者が2人存在するため、慰謝料請求権を行使できる人物も2人いるという点です。


普通の不倫よりも話がややこしくなるので、相談者(A子)、相談者の夫(B男)、夫の不倫相手(C子)、不倫相手の夫(D男)と、4者の関係を整理して説明します。


ダブル不倫では、実際には被害者が2人とも慰謝料請求を行うとも限りません。相手方の被害者(配偶者)が慰謝料請求をしてくる可能性があるかどうかの見極めが重要となります。


なぜなら「既に不倫の事実を知っているかどうか」、知らない場合は、「知られないまま相手方妻から慰謝料を取ることができるか」がポイントになるためです。


今回のケースでは、相手の夫(D男)にも不倫の事実はバレているようですから、この先の対応が重要になってきます。


●事実上の「相打ち」になることも


法的には、夫婦をまとめて1つの権利主体と考えるのではなく、あくまで個人単位で考えます。


ダブル不倫の場合でも当然、妻は相手方女性に対し、慰謝料請求をすることは可能です。また、不倫した自分の夫は、妻からみれば「共同不法行為者」であるので、自分の夫に対しても同じく慰謝料を請求することが可能です。


今回のケースで言えば、A子さんは、夫の不倫相手(C子さん)だけでなく、夫本人(B男さん)にも慰謝料を請求することができることになります。


A子さんは夫婦の関係を修復したいと考えているようですから、B男さんに対してではなく、C子さんだけを相手に、慰謝料を請求することになるでしょう。


ただ、浮気相手の夫であるD男さんも、B男さんに対して慰謝料を請求することができます。


この場合、2つの慰謝料請求権が行使されている状態です。形式的にみれば、C子さんがA子さんに慰謝料を支払い、B男さんがD男さんに慰謝料を支払うことになります。


一方で、夫婦が協力して今回のトラブルを乗り切ろうと考えるような場合には、事実上の「相打ち」として、金銭のやりとりなく終わることもあります(いわゆる「ゼロ和解」)。夫婦の単位でみれば、出て行くお金と入ってくるお金はプラスマイナスゼロと考えるわけです。


他方、A子さんが、「離婚はしないけど、夫(妻)が慰謝料を請求されるのは自業自得」と考えて、協力しない場合は、B男さんには自身の慰謝料の支払いも含め、別個に対処させる形となります。A子さんは夫のB男さんの事件に気兼ねすることなく、C子さんから慰謝料をより多く取れるよう、請求を行っていくことになります。




【取材協力弁護士】
澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士
東京弁護士会所属。離婚、不倫問題、労働問題などを中心に取り扱う。iPad、iPhoneなどのデバイス好きが高じ、事務所内の事件資料や書籍の全面データ化等、ITをフル活用して業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。
事務所名:新宿キーウェスト法律事務所
事務所URL:http://www.keywest-law.com


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