香港の富豪が11月中旬、スイスで行われた「サザビーズ」の競売にて、12.03カラットのブルーダイヤモンド「ブルームーン」を落札した。4860万スイス・フラン(約59億円4000万円)というお値段もさることながら、そのダイヤが7歳の娘、ジョゼフィーンちゃんのために落札されたことがわかり、世界中で驚きの声が広がった。
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この富豪は、不動産王のジョセフ・ラウ氏だ。ジョゼフィーンちゃんの母親とは結婚しておらず、ジョゼフィーンちゃん以外にも、別の女性との間に2人の子どもがいるそうだ。
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もし、これが日本に住む、日本人の富豪の話で、娘にこんな高額のダイヤを贈ろうとしているのだとしたら、多額の贈与税がかかるのではないか。税金面はどうなのかについて、三宅伸税理士に聞いた。
「まず、香港は贈与税、相続税はありません。そのため、ジョゼフィーンちゃんには、贈与税はかかりません。仮に、父の死後に相続で取得した場合も、相続税はかかりません」
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三宅税理士は、香港の税制度を紹介する。だが、日本には贈与税や相続税がある。もしこの父子が、日本に住む日本人であったら、約59億4000万円ものダイヤに対して、税金はどのくらいかかるのだろうか?
「日本の贈与税と相続税の最高税率は55%です。59億円のダイヤには、最高税率の55%がかかります。つまり、ラウ氏、ジョゼフィーンちゃんが日本に住んでいたらジョゼフィーンちゃんに32億6239万5000円の贈与税がかかる計算です。
しかし、この税額はあくまでジョゼフィーンちゃんに32億6000万円の贈与税の支払能力がある場合です。ジョゼフィーンちゃんが、贈与税を払うお金がない場合には、ラウ氏がかわりに納税しなければなりません。つまり、贈与税額分も合わせて贈与することになります。
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なお、贈与を受ける者が未成年者であっても、贈与契約は成立します。そして贈与税は、贈与が成立した翌年の確定申告のときに納付しなければなりません」
ではもし、日本を離れ、海外で暮らしていたら、税率は異なるのだろうか?
「ダイヤが海外にあり、ジョゼフィーンちゃんが外国籍をもつ海外の居住者である場合や、ジョゼフィーンちゃんとラウ氏の両者が、過去5年以内に日本に住所がない場合には、贈与税や相続税はかかりません」
ところで、「愛娘のために」と買ったものの、ラウ氏が死ぬまで所有し続けた場合は、相続税がかかるのだろうか?
「その場合、財産をもらったジョゼフィーンちゃんは相続税を納めなければなりません。
遺言書で『愛娘にわたす』と記載がある場合、また遺言がなくても相続人全員に異議がなければ、受け取ることができます。ただし遺言書があっても、相続人の反対により、そのとおりいかない場合もあるので、注意が必要です。
なお、相続によりダイヤを子へ引き継ぐ際には、『相続時のダイヤの時価』により相続税額が決まります。そのため、オークション時よりさらに高額になる可能性もあります。その場合には、贈与税と同じく、最高税率の55%の相続税がかかる計算です」
なんとも、目のくらむような試算だ。
【取材協力税理士】
税理士 三宅伸(みやけしん)
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月堂島で三宅伸税理士事務所を開業。誠実であること、素直であること、常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーにしている。相続、起業支援、介護事業支援等を軸に幅広く活動している。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所
事務所URL: http://miyake-tax.jp/index.html
(弁護士ドットコムニュース)
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