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職場で「クリスマスに忘年会するから!」と一方的に言われたが、どうしたらいいのか――。12月25日の夜に開かれる取引先の忘年会に参加するよう会社から命じられたという男性の悲痛な叫びが、ネットの掲示板に書き込まれていた。
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男性には妻子がいるので「子供とクリスマスすごしたいよおおおお!」というのが、本音なのだ。何とか断ることができないかと考えているが、先輩社員が既に取引先に参加の返事をしてしまったため、断りにくい状況だという。
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この男性が希望するように、「クリスマスを家族と過ごしたい」という理由で、仕事関係の忘年会を拒否できるのだろうか。それとも、会社に指示されたら、従うしかないのか。大山弘通弁護士に聞いた。
「結論から言います。もちろん、相談者は、忘年会参加を断ることができます」
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大山弁護士はズバリ言う。
「労働者は、賃金を受け取る一方で、使用者の指揮命令に従って、決められた時間に労働に従事します。逆に言えば、労働に従事する以外の時間は、労働者自身が自由にできるプライベートな時間。当たり前ですが、労働者が好きに過ごすことができます。いくら取引先との忘年会とはいえ、宴会が労働とはいえないでしょうから、相談者さんは、忘年会に出る必要はありません」
会社は「忘年会も業務の一環」と主張してきたらどうすればよいか。
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「それなら、忘年会に出席した分の時間外手当を払ってくれと言ってはどうでしょうか。手当を払ってくれるはずもないですから、業務ではないことになります。
想定しにくいですが、もし忘年会で時間外手当も支給されるなら、業務の一環として出席する必要があります。
しかし、この場合でも、会社が組合との間で時間外労働の協定(いわゆる36協定)を結んでいなければ、1日8時間の労働時間を超えて働く必要はないとして(労基法32条)、忘年会を断ることができます。
さらに36協定を結んでいる場合でも、協定で定めた時間外労働をすでに超えているなら、忘年会に出席する必要はありません。あっさり断ってください」
では、気楽に断ることができそうだ。
「事前の了承も得ずに勝手に決められた場合、先輩社員からのイジメを疑ったほうがいいかもしれません。その場合は、弁護士でもどこでも、しかるべきところへ相談したほうがいいでしょう」
大山弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大山 弘通(おおやま・ひろみつ)弁護士
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も、個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。
事務所名:大山・中島法律事務所
事務所URL:http://on-law.jp/
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