ひとりでも多くの人命救助を。ドクターヘリの早期出動判断を行う救急自動通報システム「D-Call Net」

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2015年12月07日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

自動車におけるIoTが急速に進みつつある。

今回紹介するシステムも、未来の話ではなく、じっさいにもう試験運用が始まったものだ。

事故が起きた際、“自動車”が自動で連絡し、状況に応じて、ドクターヘリやドクターカーの出動を要請するというものである。

緊急通報システムは以前からあった

その前に、もう15年も前から提供されている『ヘルプネット』というシステムを紹介しよう。

これは、レクサス、トヨタ、ホンダ車の一部が対応しているもので、エアバッグが開くような事故があった場合、クルマから日本緊急通報サービスに自動で連絡がいくというものだ。

日本緊急通報サービスでは、通報者と連絡をとったうえで、GPSで計測した位置情報や事前に登録した車両情報を、利用者に代わって警察や消防に連絡してくれる。

なお、車載スピーカーを通じても通報者と連絡がとれない場合は、利用者が意識不明という可能性もあるので、警察や消防に救助要請してくれる。

また、エアバッグが開かない状況で利用者が手動で通報することもできる。

医師の出動を素早く判断

今回試験運用が開始された『D-Call Net』は、それをさらに発展させたものだ。

エアバッグ展開時の自動通報という点は変わらないが、その際に衝突の方向・厳しさやシートベルト着用の有無などの車両データも、日本緊急通報サービスのオペレーションセンターに自動配信する。

そして、日本緊急通報サービスでは、過去280万件の事故データをもとにした死亡重症確率推定アルゴリズムから、運転席・助手席の死亡・重症確率を推定し、その情報をドクターヘリ基地病院へ送信するというものだ。

下はその実動訓練の動画だ。


動画を別画面で再生する

これによって、通常の救急車の出動要請が行われるだけでなく、ドクターヘリやドクターカーの出動を早期に判断することができるようになるため、深刻な事態で医師による治療開始までの時間短縮を実現し、交通事故での救命率の向上が期待できる。

ひとりでも多くの人命を救うことを願って

この『D-Call Net』の試験運用には、北海道から長崎まで全国9箇所のドクターヘリ基地病院が参加する。

トヨタでは2015年8月にマイナーチェンジしたランドクルーザー、10月にマイナーチェンジしたクラウン、レクサスでは新導入したLX、フルモデルチェンジしたRX、マイナーチェンジしたGS、新発売のGSが対応。

ホンダでは、2013年6月に発売したアコード以降、メーカー純正ナビにはBluetooth接続可能な携帯電話を活用した『D-Call Net』対応機能を搭載しているという。2017年には『D-Call Net』対応車は約40万台まで拡大する見込みだという。

今後、2018年中の本格運用開始に向けて、『D-Call Net』に参加するドクターヘリの基地病院の全国展開を働きかけていくとともに、トヨタ、ホンダはほかの自動車メーカーとも連携して対応車種を拡大していくという。

こういった技術の進歩により、いち早い救急対応で、ひとりでも多くの人命を救ってくれることを願う。

【参考・画像】

※ ドクターヘリの早期出動判断を行う、救急自動通報システム(D-Call Net)の試験運用を開始 – TOYOTA Global Newsroom

【動画】

※ 救急自動通報システム(D-Call Net)実働訓練 – YouTube

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