今年のブラック企業大賞が決定!問われるモラルと企業のあり方

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2015年12月08日 11:40  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

え、あの会社やあの会社がブラック企業だって!?

11月29日に『ブラック企業大賞 2015』の授賞式が都内で行われた。

『ブラック企業大賞』を主催しているのは、弁護士や学者、ジャーナリストなどで作られた、ブラック企業大賞実行委員会だ。

今回で4回目となり、過去には東京電力やワタミフードシステムズ、ヤマダ電機などが大賞を受賞している。

そして今回、『ブラック企業大賞 2015』を受賞した企業と受賞の理由、問われる企業モラルや労働者が注意すべきことについて追っていく。

「ブラック企業大賞 2015」の受賞企業

■1:ブラック企業大賞「株式会社セブンイレブンジャパン」

2013年に、フランチャイズ加盟店が販売期限の近い弁当などを見切り販売することを、株式会社セブンイレブンジャパンから妨害されたことで、損害賠償問題が発生した。

これをきっかけとして、コンビニ業界そのものが、本部からの過酷な搾取のしわ寄せとして、アルバイトを低待遇で使役しているという指摘がされた。

株式会社セブンイレブンジャパンは、その代表的存在とされたわけだ。

■2:WEB投票賞「株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)」

元営業職であった社員を、勤務態度や機密事項流出などの理由でシュレッダー係に配置転換した後、突如として懲戒解雇し、同社員の顔写真入りの罪状(全社員を脅迫しているような内容)を作成して、全国の店舗に掲示するなどした。

また、YouTubeで見た方も多いかも知れないが、労働組合の抗議行動に対して、同社幹部が荒々しく暴力的な凄みの有る言葉使いで迫る映像が話題になった。

さらに、引っ越し荷物の破損などへの損害を、従業員の給与から天引きしたり、人種差別や部落差別を疑われるような採用基準を設けていることが指摘されている。

■3:ブラックバイト賞「株式会社明光ネットワークジャパン(明光義塾)」

同社では、アルバイト講師が授業の準備や生徒の見送り、あるいは報告書の作成や後片付けにかかった時間に対する賃金が払われていなかったということで、各地の労働基準監督署から是正勧告を受けた。

このことで、同社は“ブラックバイト”の象徴的存在となった。

また、子供を教育する業界がこの様なモラルで良いのか、という部分で批判されているようだ。

■4:特別賞「暁産業株式会社」

同社は、消防自動車や消防設備などの販売と保守点検を行う企業。

2010年12月に、同社の保守点検部門で働いていた19歳の男性社員が自殺した。この自殺の理由が上司からのパワハラであったことが、福井労働基準監督署で認められている。

男性社員は上司から「死んでしまえばいい」などの暴言を浴びせられ続けた結果、鬱状態になってしまい、自殺に追い込まれてしまったという。

福井地裁は同社に対し、“典型的なパワーハラスメント”として会社と上司に約7,200万円を支払うことを命じた。

■5:アリ得ないで賞 : 株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)

前述の『WEB投票賞』で紹介した通り。ブランド名をもじられてダブル受賞するとは……。

企業モラルとあり方

“ブラック企業”の定義は様々だが、ほぼ共通して言われているのは、以下の様なことだ。

・従業員に劣悪な労働を強いることで心身共に過重負担を与えている。 ・違法性が高い労働を強いたり営業活動を行っている。 ・パワーハラスメントが日常的に行われている。

そこで昨今では、企業コンプライアンスを守ることが重要だと言われている。

しかし、コンプライアンスは基本的に法律や内規を守ることだとされ、それでは法律や内規さえ守っていれば企業倫理(モラル)は軽視されてしまう、といった議論もあるらしい。

そこでわざわざ、モラルも含んだ“フルセット・コンプライアンス”なる理論が提唱されている。

個人的見解だが、ブラック企業が生まれる原因は、“新自由主義的な考え方を是とした市場の在り方”にあると考えている。とはいえ、経営者に品格や高い志があれば防げるのかもしれない、とも思う。

例えば、コンプライアンスを守ることや、客や従業員への利益などの社会への貢献・社会的存在意義を見失っているか、敢えて捨てているのではないのだろうか。

労働者が注意すべきこと

個人がブラック企業の増加を止めるのは困難だ。従って、労働者自らが身を守らねばならない。

もし、入社した企業がブラック企業であったら転職すべきだ。ただし、判断が難しいのは、そこが本当にブラック企業なのか、それとも単に自分の社会性の欠如や忍耐力の欠如なのか、自分だけでは判断しにくいことだ。

従って、まずは第三者に相談すべきだろう。『ブラック企業大賞: 相談窓口一覧』では相談先が紹介されている。

ブラック企業の恐ろしさは、労働者の心身を疲弊させると同時に、再就職の困難さや「辞める者はダメ人間である」といった刷り込みを行ってくることらしい。

確かに転職は容易ではないし、共同体を抜け出したり物事を途中で放り出すことは悪であると教えられてきた人にとっては、決断には勇気が要るだろう。

しかし、決断が遅れれば遅れるほど、ますます辞められない体質になってくる。そして、気が付いたら取り返しが付かないダメージを受けているかも知れないのだ。

「ブラック企業大賞」への要望

『ブラック企業大賞』の功績は、ブラック企業に社会的制裁を与える事で企業の体質改善を促す、ということだろう。

実際、『ブラック企業大賞』に限らず、マスコミやネットで騒がれて社会的制裁を受けた企業が、雇用環境を改善したなどの例はあるからだ。

次に要望だが、受賞、もしくはノミネートされた企業側にも言い分があることを取り上げて欲しいということだ。

せっかくブラック企業のブラックな部分を明るみに出すのだから、企業側に反論の場を与えたり、なぜそのような事が起きているのかといった企業側の言い分を紹介して欲しい(難しいとは思うが)。

さて、長くなったついでに書いてしまうが、危惧が有る。

政府が進めている法人税減税の恩恵を受けるのは、納税能力の有る日本の法人の3割程度の企業だという。

また、減税されて浮いた金は、内部留保や国内外の投資家への配当、海外展開への資金に回るとみられている……。どうやら国内の従業員には回ってこなさそうな気配がある。

そして、法人税の減税分を、外形標準課税の拡大で賄うとしている。この外形標準課税の恐ろしさは、企業規模に課税されるため、赤字でも課税されることだ。

さて、追い詰められた企業はどんな手を使うのだろうか?

【参考・画像】

※ ブラック企業大賞

※ ブラック企業大賞: 第4回 ブラック企業大賞2015 ノミネート企業発表!

※ ブラック企業大賞: 相談窓口一覧 – ブラック企業大賞

※ すしぱく – PAKUTASO

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