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再生医療は進むか?細胞を傷つけずに培養細胞の酸素代謝を計測できる「柔らかいシート型センサ」を開発

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2015年12月09日 21:10  FUTURUS

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東京大学とニコンの共同研究グループは3日、細胞を傷つけずに酸素代謝を計測できる、柔らかい光学式シート型センサを世界で初めて開発したと発表した。

医薬品や再生医療の研究では、使用する細胞の品質を評価する必要があるが、従来の計測法では細胞自体を傷つけてしまっていたという。

今回開発されたのは、培養された細胞に載せるだけで、細胞のわずかな酸素代謝を高感度に計測できる光学式センサシートとなり、細胞の品質評価や新薬の機能評価・毒性スクリーニングへの応用に期待がかかっている。

細胞技術の産業化のために要請された技術

研究成果は米国のオンライン科学誌『PLOS ONE』に掲載された。今回の研究の背景には細胞技術をめぐる以下のような事情があったという。

近年、iPS細胞などの細胞技術の発達により、医薬品開発から再生医療研究まで、培養細胞の使用範囲が大きく拡大しているが、細胞技術を産業化するには、研究に使う細胞を同じ品質で供給する方法や、細胞の状態を傷つけない「非侵襲(ひしんしゅう)・非破壊」で評価する技術が必要となるという。

しかし、現在市販されている酸素センサでは、培養液中の酸素濃度を計ることはできるものの、品質を評価する指標の一つである「酸素消費量を計測することができなかった。

同時に、従来の方法では、代謝活性を測定するために細胞を培養シャーレから剥がして専用の装置の中に細胞を移す必要があり、この段階で細胞を傷つけてしまうため、培養状態で代謝を計測できるような手法が求められていたのだ。

自動光学計測システムと組み合わせ計測に成功

今回、研究グループが開発したセンサは、柔らかな透明ポリマーシートの表面に、『マイクロチャンバー』と呼ばれる髪の毛の太さほどの微小なへこみが数多く形成され、その中に酸素濃度によって発光応答が変わる、リン光発光性金属錯体のセンサを備えている。

このシートを培養細胞や生体組織に載せ、自動光学計測システムと組み合わせて使うことで、1分間に100箇所の自動計測が行え、がん細胞や脳組織中の神経細胞の酸素代謝を計測することに成功したとのことだ。

今回の成果を用いれば、個々の細胞や細胞コロニー単位で代謝活性を計れるため、薬効の評価や治療に使用する、細胞の品質管理に役立つと考えられている。

また、これまで不可能だった、生体組織の細かい部位ごとに挙動の変化を調べられるため、医薬品の開発において薬効や活性、性質の改善を示す物質を探し出す“スクリーニング”に新たな道を拓く可能性も指摘されている。

共同研究グループが開発した、貼ってはがせる柔らかいシート型センサは、大量生産も可能だということだ。

医薬品開発や再生医療用に使う細胞の品質管理技術への応用が期待されており、さらなる研究の発展が楽しみだ。

【参考・画像】

※ http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_20151203171259953987569386.html

※ wavebreakmedia / Shutterstock

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